電車の停車施設って何!?その1
言うまでも無く、列車はただ動いているわけでなく、
乗客を乗せたり、貨物を載せたりするため、
しかるべき場所に停車します。
また、列車の交換や路線分岐のため、
信号を設けて停車出来る様にしています。
1、駅の種類
「駅」と言えば、別に鉄道ファンでなくても普通にご存知の事だと思いますが、
列車が停車して乗客を乗せたり、貨物を載せたりする施設のことを言います。
ただ、駅と言っても色々な角度で分類出来ます。
A、用途分類
駅で何を乗せる(載せる)かによって分類する方法です。
○旅客駅
旅客を乗せるおなじみの駅です。
○貨物駅
貨物を載せる駅です。
○一般駅
旅客を乗せる他、貨物設備もあり、貨物を載せることも出来る駅です。
○臨時駅
一定期間のみ列車が停車して旅客を乗せる駅です。
イベントなどで多くの人が訪れる場合に設けることが多いです。
○乗降場
乗客がある場合、貨物を載せることがある場合のみ停車する駅ですが、
最近では殆どありません。
B、駅員配置による分類
○有人駅
鉄道会社の社員である駅員が最低でも一人はいる駅です。
○無人駅
駅員が一人もいない駅ですが、
駅によっては駅員がいる駅もあります。
そう言うと「無人ではないではないか」
と憤慨されるかたもいらっしゃるかと思いますが、
この駅員は窓口業務は行なわず、
運行業務のみを行なう駅員です。
また、貨物担当の駅員はいて、旅客担当の駅員はいない一般駅も、
無人駅扱いになります。
例としてJR鶴見線の浜川崎駅や扇町駅は、
JR貨物の駅舎があって貨物担当の駅員はいますが、
JR東日本の駅舎は券売機と簡易ICカードタッチパネルだけで、
旅客案内や発券担当の駅員はいません。
無人駅は定期的に近隣の有人駅から駅員が巡回にまわり、
駅の整備や異常などのチェック、使用済み切符の回収などを行ないます。
基本的に無人駅には駅員がいないのですが、
ちゃんと駅舎があり、
券売機や自動改札を設けている駅(監視カメラ管理)もあれば、
ホームだけで駅舎も何もなく、運賃の支払などは列車内で行なう駅、
駅舎はあるが、集会場など全く関係のない施設が入っていて、
待合室しかない駅など色々レベルがあります。
○委託駅
窓口業務、貨物業務を外部に委託している駅です。
委託の形態はいろいろあり、
鉄道会社が合理化のため、子会社を設立し、その会社に委託する方法、
全く別の会社に委託する方法の他、
駅近所の売店の人に委託する場合もあります。
C、閉塞による分類
現在は一般的に規定されていない分類ですが、
鉄道会社によっては慣例的に分類しているところがあります。
○停車場
駅構内に線路の分岐があり、
旅客、貨物扱いのために停車するだけでなく、
列車の退避・通過待ち、折り返し、留置など多角的に停車出来る駅を言います。
閉塞の観点で見れば、場内、出発信号が設けられている駅を言います。
○停留場
駅構内に線路の分岐はなくホーム(と駅舎)だけがある駅です。
つまり、旅客、貨物扱いのために列車が停車するのみの駅です。
また、路面電車は一律「電車停留場(略して電停)」扱いになっています。
なお、営業キロを決める駅の中心は、必ずしも駅構内の中間地点ではなく、
駅舎の位置など色々な方法で決められています。
また、起終点は車止めを基準にすることが多いです。
そんな訳で、
駅間距離が短い区間は営業距離で見ると不自然な感じを受けたりします。
(相鉄本線の横浜〜平沼橋駅間など。
横浜/車止め、平沼橋/西横浜駅よりの駅舎地点、
そのため、営業キロは0.9qですが、
実際に列車が走行している距離は0.7q程です。)
2、ホームと配線
ホームと線路の位置関係で色々な分類があります。
先ず、大きく分けてホームが線路を挟んでいるか、
線路がホームを挟んでいるかで分けられます。
ホームが線路を挟んでいる場合を相対式(または対向式)ホーム、
線路がホームを挟んでいる場合を島式ホームと言います。
相対式ホームと島式ホームは駅用地の状況、
運行する列車の速度、利用客数など多角的な観点で決定されます。
相対式ホームの場合、線路に余計な曲線を設ける必要が無く、
カーブ上にある駅以外は概ねホームの見通しがよく、
通過列車も速度を落とさないで通過出来る他、
上下線のホームが別々にあるため、上下線列車が同時に到着した場合、
双方で混雑することを避けられる利点があります。
欠点は上下線それぞれにホームを設けるので建設コストがかかることです。
ある程度利用客がある駅では当然、
エスカレータやエレベータもホーム毎に設置するので、更にコストが嵩みます。
利用客が時間帯によって上下線乗降に偏りがある場合、
相対式ホームだと不利になることがあります。
島式ホームの場合、ホームが一つだけなので、
建設コストを下げることが出来ます。
(昔はタブレットの授受が同一ホームで楽に出来る利点もありました。)
また、駅用地も削減することが出来ます。
欠点は相対式ホームと真逆で、
駅前後で上下線が左右に離れるためのカーブが入ってしまい、
制限速度が入ってしまう欠点の他、
上下線列車が同時到着をした場合は混雑してしまいます。
また、ホームが流線型状に膨らむ場合が多く、
ホームの見通しが悪い場合があります。
その他のホーム形状に頭端式ホーム
(人によっては櫛形ホームと言う場合があります。)があります。
これは起終点の駅で設けられる形態で、
車止めから先は線路が無いので、各々のホームを通路で結んでいます。
こうすることにより、
それぞれのホームの行き来で階段をのぼりおりする必要が無くなる利点が出来ます。
また、車止め側に改札を設けることによって、改札への通路を集約する事が出来ます。
頭端式ホームは外国のターミナル駅では一般的なのですが、
日本の場合、特にJR線はターミナル駅でも路線が貫通しているので、
頭端式ホームは大手民鉄のターミナルではよく見られるのですが、
JR線の場合は私鉄買収路線の起終点以外あまり見られません。
単式ホームは単線の路線によくある形態で、
線路1本にホームが片側1面だけの簡素な駅(停留場)です。
単式ホームの事を棒線構造とも言います。
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なお、ホームや線路が沢山あって、相対式や島式の分類が困難な場合は、
○面○線と言う言い方をする場合があります。
「面」はホーム数、「線」は線路数です。
(このサイトをご覧の方はおなじみのことだと思いますが。)
分類は更に続き、通過、退避待ちが出来る駅も、島式、相対式に分類出来ます。
島式の場合、本線と退避待ちをする副本線(待避線)の間にホームを設けます。
優等列車がその駅に停車する場合、
優等列車と退避待ちをする各駅停車などの普通列車と
同一ホームで接続(乗り換え)出来る利点があり、
また、退避待ちをしない各駅停車は副本線に入らず、本線に停車すれば、
分岐部で速度を落とさないで駅に進入出来ます。
欠点はその駅を通過する列車がある場合です。
通過列車はホームのある本線を通過するので危険があります。
ただ、通過、退避待ちが出来ない駅にもそのリスクはあるし、
ホームゲートなどがあれば特に問題はありません。
一方、相対式の場合、副本線のみにホームを設け、
その上下線の間の通過線にはホームを設けません。
そのため、通過列車は安全に速度を落とさず通過出来ます。
欠点は優等列車と普通列車が同一ホームで接続出来ない事です。
そのため、この方式を採用する場合は、
大部分の優等列車が通過する駅に限られます。
また、停車する列車は通過待ちをする、
しないに限らず必ず副本線に進入するので、
分岐部で速度を落とさなければならない欠点があります。
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その他、スイッチバック式と言うものもあります。
狭隘だったり、急勾配などで駅ホームが設けられない場合、
本線から線路を分岐させてその分岐線に駅ホームを設けることがあります。
分岐線は概ねレベル(水平)になっているので、
安全に停車出来ます。
また、普通列車が分岐線の駅ホームに停車している間に、
通過列車が本線をそのまま通過することが出来ます。
欠点は駅に進入する際、2回列車の進行方向を変える必要があることです。
最近はブレーキ装置の信頼性が高まっていて、
ある程度の勾配なら勾配途中にホームが設けられるので、
こういったスイッチバック駅は無くなりつつあります。
一方、折り返し(方向転換)駅は線路の進行方向が急激に変わる場合に用いられます。
通常は箱根登山鉄道のような
何度も折り返して山を登っていく路線に用いられるのですが、
西武池袋線の飯能駅や小田急江ノ島線の藤沢駅のように、
線路用地確保の問題や経由の関係でやむを得ず採用する場合があります。
一般的には折り返し駅も広義のスイッチバック駅で、
鉄道ファンで無い方は普通に「スイッチバック」と言っているのですが、
つまらないことに拘る鉄道ファンは
「折り返し駅はスイッチバック駅ではない」と言い張るので、
一応初対面の鉄道ファンに対しては「折り返し駅」と言った方が無難です。
複々線の場合、線路配線が線路別と方向別の2種類あります。
線路別複々線は、急行線と緩行線、
若しくは異なる2路線が別々に平行している線路配置です。
この方式の場合、急行線、緩行線のホームが明確に分かれるため、
誤乗車を防止する事が出来ます。
また、これは鉄道会社側にとっての利点なのですが、
乗務員がそのまま折り返し運用に入る場合、
階段ののぼりおり(若しくは構内踏切を渡る)をしなくて済むと言うのがあります。
欠点は急行線や緩行線が同一ホームで接続(緩急接続)出来ないことです。
駅間距離が長くて緩行線と急行線の時間差が小さいJR線ならまだ良いのですが、
駅間距離が相対的に短く、緩行線と急行線の時間差が大きい民鉄線の場合、
同一ホームで緩急接続出来ないのはネックになるので、
基本的には線路別を採用する場合、
急行線と緩行線分けではなく、
行き先の異なる2路線でやむを得ず採用する場合に限られます。
一方、方向別複々線は上下線で分ける方法です。
この場合、2種類あり、急行線が内側になる場合と外側になる場合があります。
急行線を内側にすると、駅部でのカーブが少なくなるので、
急行線を走る列車は比較的高速で運転出来るのですが、
急行線にホームを設けない駅はほぼ相対式ホームに限られてしまうので、
上下線それぞれホームを設けなければならなくなります。
また、緩行線に折り返し設備を設ける場合、
複雑な立体交差になってしまう欠点もあります。
急行線を外側にすると、
駅部で急行線がホーム用地の膨らみの関係で
カーブが入ってしまう欠点があるのですが、
急行線にホームを設けない場合は、
緩行線の上下線の間に島式ホームを1面設けるだけで済みます。
また、緩行線の折り返し設備は緩行線の上下線の間に設ければ、
急行線をまたぐことがないので、複雑な立体交差は不要になります。
そのため、高速運転重視の路線は内側急行線、
効率性重視の路線は外側急行線の場合が比較的多くなっています。
傾向としては前者が関西の民鉄、後者が関東の民鉄なのですが、
勿論、小田急小田原線の複々線のように例外はあります。
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