電車の連結装置って何!?その2
3、密着連結器
3−1、密着連結器
自動連結器やら密着式自動連結器やら密着連結器やら名称が似て非なる物が多く、
混乱してしまうのですが、
密着連結器は密着式自動連結器とは全くの別物です。
密着連結器は連結解放作業の効率化を要求される旅客電車でよく使われます。
密着連結器は「案内(ガイド)」と言う連結器先端の突起、
連結器内部にある回転錠、解放時に回転錠を動かす解放ハンドル、
回転錠を元の位置に自動的に戻す戻しばねで構成されています。
連結時にお互いの連結器の案内が回転錠を押すので、
回転錠がレール方向の向きに回転します。
お互いの案内が空孔部に入ると戻しばねの力で回転錠が元の位置に戻り、
連結器が固定されます。
回転錠が元の位置に戻ると、案内が回転錠にひっかかるため、
連結は外れません。
連結を解放する時は解放ハンドルを引くと回転錠が回り、
連結が外れるようになります。
・・・と言う事を上の図で説明すると、
「解放する時は解放ハンドルを操作するため、
車両間に入らなければならず、危険じゃないか!!」
と怒る方もいらっしゃるかと思いますが、
実は乗務員室の助手席側に
この解放ハンドルを操作出来るハンドル、レバー、スイッチ等があり、
これらを操作すると車両間に入らなくても解放ハンドルを操作する事が出来ます。
(下の写真は西武鉄道の車両の解放ハンドル操作レバーです。)
3−2、密着連結器の空気連結器と電気連結器
密着連結器もエアホースやジャンパー線で空気管や
電線を接続させるのが基本なのですが、
密着連結器の完全密着性を利用して、
「車両連結と同時に空気連結と電気連結も一緒にやっちまおう。」と言う、
「一石三鳥」のことが出来ます。
密着連結器は上下に孔が開いているのですが、
これは空気管の孔です。
電磁直通空気ブレーキなどはやはりこの孔が最低2つ以上あります。
連結器同士が連結されるとこの孔同士が合わさり、
空気管が繋がります。
密着連結器は「密着」と言う事だけあって隙間が全くないので、
圧縮空気が連結器の隙間から漏れると言う事は殆どありません。
なお、頻繁に連結・解放する電車は密着連結器の下に、
カバーで覆われた長方形のものがあるのですが、
これは電気連結器です。
連結時にお互いの電気連結器カバー開閉ボタンを押す突起が、
相手車両の電気連結器カバー開閉ボタンを押すと、
電気連結器のカバーがパカッと開きます。
カバーの中には電気接続をする端子が沢山あります。
密着連結する事でお互いの端子がそれぞれ接続されます。
電気連結器も完全密着なので、
端子の差込が不十分で電気が流れないと言う事は
(端子破損や故障でない限り)ありません。
4、固定連結器
通勤電車などは固定編成(10両編成なら同じ車両の組み合わせの10両で走り続ける。)
になっていることが多く、
定期検査など以外は滅多に連結、解放を行なわない中間車両が数多くあります。
それらの車両に従来の密着型自動連結器や密着連結器をいちいち付けると、
コストがかかってしまいます。
「連結・解放なんて滅多にやんねぇんだから、
値段が安くて単純な連結器の方が良いぜ。」
と、言うことで、
連結解放をあまり行なわない車両同士の連結用に開発されたのが固定連結器です。
車両を廃車するまで同じ組み合わせの車両同士で連結し続けることが多いので、
「半永久連結器」とも言います。
固定連結器には色々タイプがありますが、
密着連結器型の固定連結器か棒連結器がよく使われます。
密着連結器型の固定連結器も棒連結器も滅多に連結・解放を行なわないので、
ボルトで双方の連結器を完全固定しています。
検査などで車両を切り離すときだけボルトを緩めて連結を外します。
構造的には棒連結器の方が単純で、
中空(中が空洞)のため連結器の軽量化が出来経済的なのですが、
密着度や強度などは密着連結器型固定連結器の方が優れているので、
密着連結器型固定連結器の方がどちらかと言えば採用率が高いです。
ただ、どちらを採用するかはその鉄道会社の考えによって異なります。
5、緩衝装置
連結する時はお互いの車両をぶつけて連結するため、
超低速とは言え、衝撃が出てしまいます。
その衝撃を緩和させるのが緩衝装置です。
また、お互いの車両が引っ張ったり引っ張られたり、
互い違いに揺れたりするため、
連結器と連結器を接続している緩衝器の間で衝撃が走り、
車端部はどうしても乗り心地が悪くなってしまいます。
それを緩和させるため、特急列車に使用する車両を中心に、
連結器とともにヨーダンパを挟んで振動を吸収させています。
ヨーダンパはボルスタレス式ボギー台車の説明の所で出ましたが、
中にオイルの入っているピストンです。
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