大特集・グアム島の配電線1

日本の配電線は装柱の規格化が進み、
あまり面白みがないのですが、
他国の配電線は日本の配電線には無い魅力があります。
今回は、米国グアム島の配電線をご紹介したいと思います。




どこから特集しようか迷ったのですが、
先ずは発電所からやります。
グアム島はグアム電力公社と
大阪ガスの関連会社である、マリアナスエナジー社と言う電力会社が、
発電と送電を担っています。
先ず、グアム電力公社のカブラス発電所ですが、
島の中西部のピティと言う場所の海沿いにあります。
建物は無骨な建物で、
煙突も古くさい感じがします。
最近はお洒落なデザインにしている日本の煙突に比べると、
アメリカらしい感じがします。
奥の細い煙突の下に
それぞれカブラス1号機と2号機のタービンユニットがあり、
これは半世紀以上も前に出来た古いものです。


火力発電所の建物に沿って、
タンクが並んでいます。
このカブラス発電所は老朽化が進んでいるので、
グアム中心地北部のウクドゥと言うところに新しい発電所を建設しています。
ウクドゥの発電所が完成し次第、
カブラス発電所は廃止の予定で、
本来ではこの特集を組んだ2023年には既に廃止されている予定でした。
しかし、台風などでウクドゥの発電所建設が遅れ、
カブラス発電所は延長して稼働しています。


カブラス発電所から出ている送電線です。
グアム島は単独の送電線は少なく、
殆どが配電線併架の特別高圧線ばかりなので、
珍しいと言えます。
鉄塔から出ている送電線(急行線)は
グアム島中部のハガニア変電所まで繋がっています。
もう一つの線の門形鋼管柱から出ている送電線は、
隣接するマリアナスエナジー社のピティ発電所に繋がっています。


カブラス発電所から出ているピティ発電所への送電線です。
上にはハガニア変電所への送電線(急行線)も通っています。
手前の焦げ茶色の碍子の方は配電線です。


引き通しの碍子はかなり長い長幹碍子で支持されています。
懸垂碍子は10連も連なっています。


こちらは、マリアナスエナジー社のピティ火力発電所です。


マリアナスエナジー社のピティ火力発電所の建物に引き込まれる、
カブラス発電所からの送電線です。
右の送電線柱は木柱になっています。
グアム電力公社のカブラス発電所とマリアナスエナジー社のピティ発電所は、
お互い補完しあっていることが分かります。


送電線が引き込まれている建物の横からは、
特別高圧線が出ています。


ピティ発電所から出ている特別高圧線です。
線が輻輳しているので分かりにくいのですが、
門形H鋼柱に支持されている上の段の線が特別高圧線で、
3回線分を支持しています。
下の段は配電線で、
1柱ごとに地中から1回線分の配電線を合計4回線引き上げています。
そして、特別高圧線の方向に2回線の配電線を分岐しています。
両端の引き上げ線は左右方向にそれぞれ1回線分岐しています。


特別高圧線が分岐している鉄構です。
上の母線は管形になっていて、
中断に断路器、下に遮断器があります。


後ろの建物には、
「PITI−UNITS 8&9」の表記があります。
ピティ発電所のタービンユニット8号機と9号機がこの建物の中にあります。
この2つのタービンユニットは比較的新しく、
1999年から稼働しています。
取材時時点では、
カブラス1号機(66MW)2号機(66MW)と、
ピティ8号機(32MW)9号機(44MW)の4機で、
グアムの電力の大部分を賄っていました。

大特集・グアム島の配電線2

大特集・グアム島の配電線トップへ戻る

川柳五七の電線のページトップへ

たわたわのぺーじトップへ