崩壊地形

崩壊地形は斜面などが外的要因や内的要因による刺激により、
崩れて形成する地形です。
山などの地形は前のページまでに紹介した
様々な要因で新たに形成される一方で、
壊れていく地形もあります。
崩壊地形は形成過程で人間の生活に多大な被害をもたらしますが、
その地形の節理(ここでは割れ目という意味で無く時間の流れの意)を知ることで、
自然との共生が図られます。



1、地滑り

地滑りは表層の土砂が滑るように崩れることで、
急斜面でも緩い斜面でも起こります。


普段、斜面は木々などの根などで固定されているのですが・・・、


豪雨や融雪などで斜面の基部に沿って雨水が地下に浸透します。
そうすると、その部分が脆くなります。
その脆くなった部分を「滑り面」と言います。
特に地震発生後などは斜面基部に亀裂が入りやすく、
水が浸透しやすくなります。


水が入り込むことで滑り面が脆くなると、
滑り面の上の表層が上から順に塊となって崩れ落ち、
その塊がその下の表層をえぐることで土砂が下へ下へと滑り落ちます。
これを地滑りと言います。


地滑りが起きると、地面に亀裂が入ったり、
建物の崩壊、道路の寸断、河川の寸断、
湧水や井戸水などが出なくなったり等の被害もあるのですが、
棚田やスキー場として地滑り地形を利用することも出来ます。

2、土石流

土石流は降雨による地滑りや噴火などで
土砂が谷筋を通って下流に勢いよく流れる現象です。
谷筋に川が流れている場合は橋などを崩壊させたり、
堤防を決壊させ、下流の集落に甚大な被害を起こすこともあります。


土石流は山間部から流れる河川ならどこでも起こります。
特に地盤が弱く、起こりやすい河川があるので、
ハザードマップなどで確認した方が良いと思われます。
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河川が流れる谷が山間部では狭く、
山間部を抜けると急に広がる河川が、
被害の大きい土石流を起こしやすいです。


河川周辺の山々が地滑りや崖崩れを起こすとその土砂や岩石が河川の水と共に、
濁流となって下流に一気に下っていきます。
これを土石流と言います。
土石流は狭隘な山間部でエネルギーが溜まり、
山を抜けたところでエネルギーが解放されるため、
土砂や岩石が広範囲に広がります。
河川堤防も土石流に耐えられなくなり決壊することが多く、
橋も崩壊するなど、下流域に甚大な被害をもたらします。
土石流は主に豪雨などで起こるのですが、
噴火により火山灰が流れることでも起こります。
特に噴火が激しく、溶岩や火山灰がまだ熱を持っている場合は、
土石自体の被害の他、農地や建物が焼けるという火災の被害も出ます。
こういった土石流を「火砕流」と言います。
なお、土石流で造られた地形を「扇状地」と言います。

3、崖崩れ

崖崩れは降雨による浸水の他、崖を構成する岩石の劣化、
地震によるひび割れでも起きます。
原理としては地滑りとほぼ同じなのですが、
崖はほぼ垂直なので、土砂が岩石が滑り落ちると言うより、
下にそのまま落ちると言った感じになります。
そのため、崩壊スピードは地滑りより速くなります。


崖崩れは読んで字のごとく崖で発生します。


崖面は元々風雨でさらされるだけで無く、
地滑りと同じように豪雨で基部に水が染みこんだりして、
滑り面が出来たり、地震などで亀裂が入ったりします。
兆候としては、崖上の土地が地盤沈下を起こしたり、
亀裂が入ったりするのですが、
崩壊が始まると早いので、
対策をする前に崖崩れを起こしてしまうことが多いです。


亀裂などが限界点に達すると、
崖が削り取られるように崩れたり、
落石が起きたりします。
なお、一度に崩れる場合と、
数回にわたって徐々に崩れる場合があります。

4、山体崩壊

山体崩壊はその字の通り、
脆くなった山が崩れて壊れることです。
主にはカルデラや脆弱な地質の山が山体崩壊を起こしやすいです。
起こる要因は降雨の他、地震もあります。


(カルデラが形成する過程は「火山の地形形成」のページをご覧下さい。)
カルデラは中心部が凹地になっていて、
周囲をカルデラ壁が囲むような地形になっています。
このカルデラ壁は比較的薄く、
形成する岩石も火成岩の降り積もりの状態で崩れやすくなっています。


カルデラ壁は大きな震動でも微細な震動でも壊れ易いです。
大きな震動は地震ですが、風や降雨、色々な切っ掛けで一部の岩石が転がり始め、
連鎖となって崩れ出すこともあります。
一度壊れると、地滑りとは比較にならないほど大量の土砂が、
カルデラの急斜面を一気に流れるので、
かなりスピードが速いのが特徴です。
下流域に河川が流れている場合は、
河川を流れ出した土砂で堰き止めることがあります。
この土砂で堰き止められた湖や沼を堰き止め湖と言います。
有名な場所では、福島県の磐梯山で、
山体崩壊で多くの小河川が堰き止められ、
沢山の堰き止め湖が造られました。
現在、これらの湖は桧原湖や五色沼になっていて、
観光名所になっています。
なお、五色沼が色々な色の沼を形成しているのは、
山体崩壊で流れ込んだ岩石や、
地中からの火山性物質を含んだ地下水の流れ込み、
藻類の影響によるものです。

人工地形

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