組織地形
組織地形は複数の岩石の浸食の違いによって出来る地形です。
比較的浸食に強い岩石が残り、
浸食に弱い岩石が消滅することにより、
様々な特徴的地形を形成します。
この地形は広大な大地形程分かりやすいのですが、
日本の場合、他国に比べて大地形が少なく、
細かく地層、地形が形成されているため、
分かりやすい組織地形が少ないのが特徴です。
これは、日本が4つのプレート上にあるため、
地震による地殻変動が多く、
また、火山も活発で火山の地形形成も多いからです。
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基本的に堅い層(岩石)が浸食されにくく、
柔らかい層(岩石)が浸食されやすいのですが、
必ずしもそれだけではなく、
水に溶けやすいか溶けにくいかや、
風などの摩擦熱で削れやすいか削れ難いか
(剥がれやすいか剥がれにくいか)など、
浸食要因は色々あるので、
複合的な岩石の形成要因で分析をする必要があります。
1、節理/片理
地下で出来た層が地上に上がってくる時に出来るヒビを節理、片理と言います。
このヒビが浸食要因に多大に関係します。
節理は規則的でかつ縦方向に出来た割れ目のことを言います。
特徴として、割れ目同士のずれが少ないことが挙げられます。
なお、柱状に割れ目が入ったものを柱状節理と言います。
節理は地中深くに高圧かつ高温であった岩石が、
地上にあがるにつれ、低圧かつ低温になることで、
減圧と冷却が進み、徐々に緊張を失い、
割れていくことで形成されます。
一方、片理は変成岩に起こる現象で、
地中深くの温度や圧力によって化学反応を起こし別の岩石に変わり、
割れやすい面を形成します。
なお、変成作用でなく、
面状に各堆積物が重なった物は片理ではなく、
層理と言います。
何れもこういった割れ目は水などが染みこみやすく、
風化する要因となります。
2、メサ/ビュート/ケスタ/残丘
メサやビュートは上部が堅い層(岩盤)で形成されている、
上面がテーブル状になっている台地のことを言います。
堅い層と柔らかい層が幾重になっている所のうち、
柔らかい層が厚い場所を中心に浸食が進み、
堅い層が厚い部分だけ台地として残ります。
これをメサやビュートと言います。
浸食する要因は気温変化、水もあるのですが、
主には風食です。
メサとビュートの違いは大きさです。
メサは広大な台地状、または連続した台地に対し、
ビュートは狭い台地または柱状に近い形になっています。
そのため、メサとビュートは同じ地域で見られることが多いです。
アメリカ合衆国アリゾナ州のモニュメント・バレーのように、
日本でははっきりしたメサやビュートがあまり見られません。
そんな中でも比較的見られるのは香川県で、
屋島を始め、メサやビュート、それと同等の丘陵が県内に点在しています。
その他でもよくよく地図や地質図を見れば
メサなどが読み取れる地形もあるのですが、
非常に不鮮明で、地質や等高線をよく読み取らないと、
分かりにくいところが殆どです。
なお、メサやビュートで危険な時期は、
柔らかい層がえぐり出し後退し始めた頃で、
上の堅い層が崩れだし崩壊する可能性があります。
メサやビュートは堅い層がほぼ平らな場所に形成されますが、
堅い層が傾斜している場合は、
ケスタという地形が形成されます。
ケスタは両側斜面の地形なのですが、
一方が緩く、一方が急な崖になっているという特徴があります。
山のように厚い硬い層が柔らかい層の下にある場合、
上の柔らかい層が風化して浸食すると、
堅い層が露出します。
これを残丘(モナドノック)と言います。
3、ドリーネ/ウバーレ/ポリエ
石灰岩で形成されたカルスト台地は、
特徴的な地形を形成します。
石灰岩の成分(主に炭酸カルシウム)は水に溶けやすいことが特徴です。
地下深くでは、地下水により石灰成分が溶けて流され、
地下洞を形成することがあります。
この地下洞を鍾乳洞と言います。
また、鍾乳洞上の石灰岩の台地は、
ある一点を中心に雨水などが地下に染みこみ、
徐々に石灰成分を流していき、
石灰岩を削っていきます。
だんだんその部分は穴となって広がっていきます。
その穴の部分をドリーネと言います。
通常、ドリーネのような窪みは水が溜まっていき、
池や湖のようになるのですが、
地下の鍾乳洞に水が浸透して流れていくので、
大雨でない限り水が溜まることはありません。
なお、染みこんだ石灰成分を含んだ水は、
鍾乳洞内にポタポタと落ちていきます。
その落ちた部分に柱状の石灰の塊が出来ます。
それを鍾乳石と言います。
これは皆さんご存じかと思いますが、
石灰の成分がいくら水に溶けやすいと言っても、
水に溶け出している量はごく僅かなので、
鍾乳石を形成するには果てしない年月がかかります。
石灰岩で出来たカルスト台地にはドリーネの窪みが所々あります。
そして、ドリーネが拡大するとウバーレになります。
ウバーレ位になると山口県の江原のように、
窪地内に集落が形成される場合があります。
ウバーレが更に拡大するとポリエになり、
やがて上部の石灰岩が殆ど溶けて、
下の鍾乳洞まで穴が貫通するようになります。
最後は上部が完全に崩壊し、幅広い谷になります。
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