地殻変動の地形形成
地殻変動とは地球の表層部を構成する地殻の運動による変化を言います。
地殻変動はマントル上層部のプレートが関係していて、
このプレートの動きにより地殻に歪みが起きて、
断層が生じたり、隆起、沈降などが起きます。
日本は世界に希に見る4つのプレートが交差しており、
世界の何処よりも活発な地殻変動が起きています。
ただ、その一方で地殻変動時に地震が起きることが多く、
様々な被害をもたらすことがあります。
そのため、プレートの研究により、
地震の予知の研究が進められています。
1、プレート
地殻運動において重要なことは、プレートの動きです。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)以降、
プレートが一般的に知れ渡るようになったのですが、
どういうものか詳しく分かる方は少ないと思います。
なお、このプレートの動きにより地殻変動を解析する方法を、
プレートテクトニクスと言います。
地球の内部は大きく分けて地殻、マントル、核に分かれます。
地殻は外側の冷えている部分で、
陸では厚さ30q〜70q、海では海底から10qという薄い層です。
地殻とマントルの間はモホロビチッチ不連続面と言い、
地殻の厚さがバラバラなので、この面は不連続になっています。
マントルは2900q程の厚さがありますが、
上部の100q程は、
堅いリソスフェアと柔らかいアセノスフェアに分かれます。
このうち、上面のリソスフェアが所謂プレートというもので、
この動きにより、様々な地殻運動を引き起こします。
日本の場合、狭い国土に4つものプレートがあり、
北米からアラスカ、極東、カムチャッカ半島と、
北側から回り込むように存在する北米プレート、
太平洋の下をほぼ構成する太平洋プレート、
ユーラシア大陸の大部分が被っているユーラシアプレート、
そして、フィリピン海の比較的小さなプレートである、
フィリピン海プレートで構成されています。
このように、複数のプレートが接しているために、
その境界を中心に地震が起きやすくなっています。
また、お互いのプレートを押し合うことで、造山活動も活発になっています。
また、プレートに平行または、一致する形で、
大規模な断層である、構造線が存在しています。
日本のプレートで特筆するべき場所は伊豆半島で、
この伊豆半島はフィリピン海プレートの上にあり、
北側に押されています。
また、北側の接している部分は、
北米プレートとユーラシアプレートに分かれています。
そのため、付け根部分に押された分だけの山脈が形成され、
箱根や富士山など、火山活動の活発な場所が存在しています。
また、伊豆半島は定期的に群発地震も起きるという側面もあります。
なお余談ですが、北米プレートは最近分かったことで、
私が習った頃にはこの部分はユーラシアプレートに含まれていました。
2、断層
断層は地面のずれのことで、
ずれの活動が今でも続いている活断層と、
現在は活動していない休断層があります。
活断層は定期的に大きなずれを起こし、
地震を起こすことがあります。
断層を起こす力はプレートの力によるものが殆どです。
ずれは横方向に起こすものと、
縦方向に起こすものがあります。
ずれ方はその地層に加わる力(応力)や地質により異なりますが、
何れにしても、地質的に弱い部分に起こります。
なお、断層方向を見た場合手前の断層が、
左方向にずれる断層を「右横ずれ断層」、
右方向にずれる断層を「左横ずれ断層」と言います。
とても紛らわしいのですが、
考え方で言えば、
ずれを中心にして(断層の所から見て)
どちらかの方向にずれているのかで判断します。
ずれを起こすと、その断層の上にあった山や谷もずれます。
山は「ずれ」ると崖のような切り口面が出来ます。
その切り口面を三角末端面と言います。
また、ずれにより、尾根が谷を塞いだ場合、
この尾根のことを閉塞丘と言います。
東京の玉川上水は尾根上を流れているのですが、
立川断層と交差する部分は尾根のずれがあるため、
不自然に流路が湾曲しています。
一方、谷がずれた場合、横ずれ谷になります。
この谷は「ずれ」の量が少ない場合は、
谷は湾曲しながらも連続するのですが、
ずれが大きくなった場合は、
谷が途切れてしまう場合があります。
縦方向の断層のずれは、
逆断層と正断層で異なります。
逆断層の場合、撓(とう)曲崖を形成し、
上盤と下盤の間は屈曲により亀裂が走ります。
これを断層破砕帯と言います。
一方、正断層は断層崖という崖を形成します。
この断層崖の地質構成によっては、
不透水層が露出し、その境目から湧き水が出る場合があります。
断層崖の下はなだらかな斜面になる場合があるのですが、
これを崖錐と言います。
3、隆起・沈降
隆起や沈降は地盤が盛り上がったり、
下に下がったりすることですが、
起こる要因はプレートの活動、活断層のずれ、
火山活動等、色々あります。
ここでは、地殻変動による隆起、沈降の2例を挙げます。
とあるプレートが別のプレートに押し込まれた時、
しばらくは押し込まれるがまま押し込まれますが、
限界点に達したとき、反発を起こして跳ね上がります。
その時に隆起を起こすことがあります。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の際、夏休みの自由研究で、
こんにゃく2個を使って、この地震と隆起を再現していたお子様がいました。
これは良いアイデアで、とても分かりやすいと思います。
断層の横ずれでも隆起や沈降が起きます。
断層のずれが起きると、
地層の物質がずれの方向に流れていくため、
ずれの方向側は物質が溜まって隆起し、
反対側は物質の密度が下がって沈降します。
4、褶曲
褶曲とは比較的柔らかい地層で構成されている場所で、
色々な地殻変動等により、地層が変形し、
波打つような地形になったところを言います。
褶曲は盛り上がっているところと、へこんでいるところがあります。
前者を背斜と言い、後者を向斜と言います。
背斜の一番曲率が最大になるヒンジを結んだ線を背斜軸、
向斜の一番曲率が最大になるヒンジを結んだ線を向斜軸と言います。
最上部の層の背斜軸や向斜軸から、
各層の背斜軸や向斜軸を結んだ面を褶曲軸面と言います。
なお、褶曲は全部の層で起こるわけでは無く、
一部の層で起こる場合や、
層によって褶曲の仕方が異なる場合など、
多岐にわたっています。
なお、褶曲軸面を挟んで両側の地層面を「翼」と言うのですが、
この翼には左右対称の対称褶曲、
左右非対称の非対称褶曲とがあります。
背斜軸や向斜軸は
曲率が最大になるヒンジを結んだ線ですが、
必ずしもここが一番高い場所、低い場所ではありません。
上の図のように一番高い頂点の冠と背斜軸、
一番低い底辺の底と向斜軸が異なることが多々あります。
5、地盤沈下
地盤沈下はその名の通り、地盤が沈んで下がってしまう現象で、
それを起こす要因は様々あるのですが、
主なのには次の二つがあります。
なお、ここでは地中埋設物や構造物の
人為的ミスや老朽化による崩壊は含めていません。
一つ目は最近は少なくなったのですが、
地下水の汲み上げが原因で地盤沈下を起こす場合です。
地下水は水を含む砂礫層から汲み上げますが、
汲み上げることで砂礫層に含まれていた水が無くなって、
スカスカの状態になるだけでなく、
この層を支えていた水圧が無くなるため、
層の支える力が弱くなって崩れだし、
その上の層も連鎖的に陥没し、
地盤沈下を起こすものです。
もう一つは東日本大震災で問題になったのですが、
液状化による地盤沈下です。
これは水田や海を埋め立てて造成した、
下の地層が水分を含んで緩い場所に起こりやすいです。
地震が起こる前は、水を含んだ砂礫層も砂礫の重なり合い(結合)で、
上の地層を支えているのですが、
地震が起きるとその砂礫が崩れ出すだけで無く、
細かくなって水とシャッフルし、泥水化します。
そうすると、殆ど水圧だけの支えになってしまうため、
上の層を支えきれなくなり、
沈下を起こします。
また、沈下時に地層面に亀裂が入り、
そこから砂礫層の泥水が地上面に噴き出すことがあります。
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