火山の地形形成
日本は火山が多く、火山で形成された地形が多くあります。
基本的には火山の周辺で形成される地形ですが、
火山活動を全くしていない地域でも、
過去に火山活動があった場合は、
この地形の痕跡が風化を伴いながらも残っています。
1、カルデラ
カルデラは火山の地形形成で代表的なもので、
噴火が終わって地下のマグマが無くなった所に
土砂が陥没して出来た凹地を言います。
火山地帯の地表から5q程の地下にマグマ溜まりと言う、
マグマが溜まっている部分があります。
マグマ溜まりの水蒸気やガスの圧力が高まると、
地表に向かってマグマが噴出します。
それを噴火と言います。
すべてのマグマを噴き出し、
噴火が終わると、マグマ溜まりの部分は空洞化します。
やがて、噴火で盛り上がった部分(火山体)が崩れ、
マグマ溜まりだった空洞部分に土砂が陥没します。
この状態になった地形をカルデラと言います。
場所によっては陥没部分に水が溜まり、
湖を形成することがあります。
それをカルデラ湖と言います。
なお、噴火口やカルデラを等高線で描く場合、
単に等高線だけで描くと、
盛り上がっているのかくぼんでいるのか分からなくなってしまいます。
図の場合、中心部の計曲線の間隔がおかしいので、
なんとなく分かると思いますが、
ぱっと見た感じでは分かりにくいです。
くぼみ部分に変わるところに岩崖記号を入れると、
そこが凹んでいる噴火口やカルデラだという事がわかりやすくなります。
なお、岩崖記号は高い方に記号の先端(頭頂部)を向け、
低い部分の中心方向に向けて描きます。
2、溶岩じわ
火山の等高線に沿うような形でシワ状の盛り上がりが出来ます。
それを溶岩じわと言います。
上の図は溶岩流を上から見た図と、断面図です。
溶岩は斜面に沿って標高の低い方へ流れていきます。
標高が低くなるほど溶岩の流れる力が弱まり、
流れが悪くなるとともに、
先端部が空気に触れて温度が下がり、
やがて冷えて固まってしまいます。
だんだん噴火が弱まり、
噴火口に向かって同じような現象が繰り返されます。
そして、すべて冷えて固まってシワ状になったものを、
溶岩じわと言います。
なお、先端の冷えて固まった部分が割れて溶岩が染み出し、
更に標高の低い方に小さいシワを形成することもあります。
3、溶岩堤防
溶岩堤防はドロドロの溶岩の特性で出来る地形です。
溶岩が流れた経路の横に
カール状(巻き毛のように反り返った形状)の堤防が出来るのが特徴です。
噴火が起こると、
溶岩が標高の低い方へ流れていきます。
それを溶岩流と言います。
溶岩流のうち、真ん中の方は流れる圧力が高く、
どんどん標高が低い方へ流れるのに対し、
端の方は流れが遅く、
空気に触れる面が大きいので、
あまり流れないまま冷えて固まってしまいます。
やがて端の方は完全に固まってしまいます。
溶岩が流れきって、
真ん中の溶岩流は無くなり、
溶岩堤防だけ残ります。
このように溶岩流が流れにくい部分に形成されるため、
溶岩堤防は噴火口に近い方に形成されやすいです。
4、火砕流堆積面と火山灰堆積
噴火が始まると、
吹き出した火山灰や軽石などが斜面に沿って流れ出します。
これを火砕流と言います。
火砕流は標高の低い方に広がって堆積していきます。
この火砕流が堆積した面を火砕流堆積面と言います。
日本ではシラス台地などが有名です。
火砕流堆積面は堆積後、浸食などが起こります。
地形図上の特徴は、幅広い台地と、
枝状に分かれたU字状の浸食谷があるのが特徴です。
一方、火山灰などが風によって運ばれ、
その火山灰が降り注いで堆積した場所を、
火山灰堆積と言います。
火山灰堆積は風化などにより、粘土質な地質になります。
粘土質な地質をローム層と言い、
日本では関東ローム層が特に有名です。
5、火砕丘(スコリア丘)
火砕丘は噴火で噴出した物質類(これをスコリアと言う)が
円錐状に堆積して出来た地形です。
噴火が起こると火山灰、溶岩などのスコリアが噴火口を中心に降り積もっていきます。
それが冷えて固まって円錐状の山になったものを、
火砕丘と言います。
基本的に火砕丘を形成しても、
火砕丘の別の場所で噴火をして綺麗な円錐状の火砕丘は形成されにくいです。
そのため、綺麗な円錐状の火砕丘が形成されるのは、
火山活動末期のことが多いです。
等高線で見ると綺麗な円を描いているので、
直ぐに分かります。
なお、周囲には溶岩が吹き出したと見られる痕跡も見られるのも、
火砕丘の特徴です。
6、溶岩円頂丘(溶岩ドーム)
通常、噴火をすると溶岩は山体に沿って流れ出しますが、
溶岩の粘度が高いため山頂部で留まり、
そのまま冷えて固まったものを溶岩円頂丘(溶岩ドーム)と言います。
通常、マグマが地上付近まで上がった場合、
圧力で噴火して溶岩が標高の低い方に向かって流れるのですが、
溶岩の粘性が高い場合、山頂部分で留まりながら流れず、塊を形成します。
そして、噴火の進行とともに徐々にその塊が大きくなっていきます。
結局は流れ出さず塊のまま、冷却されて固まってしまいます。
その固まったものを溶岩円頂丘と言います。
溶岩円頂丘が形成された火山は、
火口の凹みが無いので、
一見、地図上では分かりにくいのですが、
山頂付近に所々独立した盛り上がり部分を見て取れるので、
なんとなく分かると思います。
なお、有名な溶岩円頂丘には注記(地図上の文字のこと)が入るので、
目星が付けやすいと思います。
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