海の地形形成

海の地形形成は基本的に海岸近くに形成される地形です。
内陸地でも元々海だったところはそういった地形跡が無いわけではないのですが、
長年の年月で風化してしまったところや、
河川の地形形成などで地形が変わってしまったところが多いので、
河川により形成された地形よりは馴染みが薄くなります。



1、海岸

海岸は大きく分けて岩石海岸と砂浜海岸があります。


岩石海岸は崖の近くで形成されるのですが、
この崖を海食崖と言います。
海食崖は波で浸食されて出来た崖です。
この海食崖から平らな所に切り替わる部分をノッチと言います。
ノッチから沖合方向にしばらくベンチという平らな岩石部分が続きますが、
ランバートという崖状の部分が現れ、
そこから先は急に水深が深くなります。
一方、砂浜海岸は土砂の堆積しやすい河口周辺で形成されます。
波打ち際に波状の砂の盛り上がりが出来るのですが、
これをカスプと言います。
カスプは海に向かって砂の盛り上がりの頂点が来るように形成されます。
更にカスプの内陸側にはバームという、
線状の砂の盛り上がりが形成されます。
何れも波の寄せ引きが繰り返されることで出来ます。

2、海岸浸食

海岸は河川から運ばれる土砂が少なくなると、
波や離岸流によって土砂が洗われ、
徐々に削れてしまいます。
これを海岸浸食と言い、
放っておくと海岸線が後退し、
海岸近くの構造物に被害が出てしまいます。


河川から運ばれる土砂が少なくなる理由は様々あるのですが、
一番多いのは、河川改修です。
特に洪水を防ぐため分水路などを造ると、
土砂の一部がその分水路の方に流れてしまい、
相対的に元の流路に流れる土砂が減ってしまいます。
また、堰を河川上に多く造ることにより、
流れる土砂が堰によって堰き止められるという原因もあります。
その他、上流にあった採石場や鉱山が閉場、閉山すると、
今まで掘削で出ていた土砂が河川に流れなくなり、
海岸の堆積土砂は少なくなってしまいます。
海岸に堆積する土砂より、
波や離岸流で持って行かれる土砂が多くなると、
海岸が徐々に削られるようになり、
海岸線が後退してしまいます。
これを防ぐのに一般的に使うのが離岸堤です。
離岸堤は主に消波ブロック(テトラポッド)で構成され、
波や離岸流をそれで打ち消すことにより、
土砂の流出を防ぎます。

3、陸繋島、陸繋砂州、砂嘴、湾口沿岸州


陸繋島(りくけいとう)とは、
元々海上に独立してあった島が、
堆積して出来た土砂によって近くの陸地と繋がった島を言います。
有名どころでは、フランスのモン・サン・ミッシェルや、
神奈川県の江ノ島などが挙げられます。
陸繋島は元々陸地と近いため、
陸繋島の陸寄りは円を描くような離岸流が発生し、
土砂が堆積しやすい状態になっています。
堆積部分は最初、干潮時のみ陸地化する状態なのですが、
徐々に干潮満潮関係なく、完全陸地化する状態になっていきます。
なお、堆積した土砂で陸繋島と陸地が繋がった部分を陸繋砂州(トンボロ)と言います。


砂嘴(さし)は沿岸に沿って流れている、
沿岸流(沿汀流とも言う)が運んだ土砂が、
沿岸流に沿って堆積する事によって出来た地形を言います。
ただ、沿岸流が流れていれば出来やすいと言う訳では無く、
当然、流れている土砂の量が多くないと形成されません。
また、それに関連して、砂嘴周囲の海域は堆積物により水深が浅いです。


湾口沿岸州も砂嘴に近く、
砂嘴扱いしていることが多いのですが、
微妙に異なることがあり、
これは湾に流れ出た河川の水流も関係している所です。
〜〜〜〜〜
河川の水流は湾に出ることで、やや弱まります。
それが先の沿岸流に当たることで、
円を描くような水流になります。
その時、その水流と沿岸流の間に土砂の堆積が起こります。
これが湾口沿岸州です。
湾口沿岸州で有名な場所はサロマ湖や天橋立が挙げられます。
湾口沿岸州が出来やすい河川は、
大体上流に扇状地が形成されていることが多いです。
なお、湾の部分は潟湖(せきこ)またはラグーンとも呼ばれます。
潟湖は湾口沿岸州により、海に流れ出る土砂が少ないため、
土砂が蓄積しやすく、比較的浅い湖になることが多いです。
有名な北海道のサロマ湖は最大水深20メートルしかなく、
日本の湖で一番深い田沢湖の最大水深423メートルと比べると、
歴然な差があります。

4、海岸段丘(海成段丘)

海岸段丘は河岸段丘の海バージョンです。
河岸段丘は洪水などの水量増加で地形を削るのに対し、
海は水量の増加はほぼ無いので、
(氷河期、間氷期のサイクルによる海面変化は除く)
主に浸食は波と地盤隆起によって行われます。


波で陸が浸食されます。
それが隆起することで階段状の平坦面が出来ます。
そして、隆起した下の層が今度波で浸食され、
更に隆起を繰り返すことで海岸段丘が形成されます。
このため、上の層ほど古い面になり、
各面の堆積物などから何時の時代まで海底だったのか、
何時浸食されたのかが分かります。
ただ、河岸段丘より砂礫で形成されていることが多いため、
他の要因で浸食されやすく、
海岸段丘は上の層ほど崩れていて分かりにくくなっています。

5、リアス海岸


リアス海岸は元々氷河期によって造られた地形で、
氷河が動くことにより地形が削られ、谷が形成されます。
それが氷河期が終わり、氷河が溶けると、
海面が上昇します。
氷河期に造られた谷は入り江となり、
尾根だった部分は突出し岬(半島)になります。
リアス海岸はこの入り江と突出し岬が交互に繰り返される複雑な地形です。
ただ、形成要因はそれだけでなく、
谷に流れる川が小さく、あまり土砂を運ばないと言う要因も必要です。
河川から多くの土砂が運ばれると、
海岸側に土砂が堆積してしまい、
海岸線が谷に食い込むこと無く平野(堆積平野)になってしまいます。
また、谷の部分は扇状地になってしまいます。


突出し岬は急斜面で人々が暮らしにくい一方で、
入り江は平地が少しあり、
漁業従事者などは船が出しやすいので、
ここに集落が形成されることが多いです。
しかし、リアス海岸は致命的な欠点のある地形です。
これは津波が来た場合、
突出し岬に押されるように入り江側に津波が行ってしまいます。
そして、津波が入り江に入ると、
エネルギーが異常に増大してしまいます。
つまり、一度津波が来ると甚大な被害に繋がるのです。
この欠点はまだ東日本大震災から時間が経っていないので、
記憶に新しいと思いますが、
時間の経過とともに風化しがちなので、
後世に伝えていく必要性があります。

6、珊瑚礁

珊瑚礁は文字通り珊瑚などが堆積して出来た地形です。
常時水面から出ている部分があるところや、
干潮時のみ水面から出るところ、
常時水面下にあるところなど、様々あります。


珊瑚礁は大きく分けて裾礁(きょしょう)、堡礁(ほしょう)、環礁の三つに分類されます。
裾礁はメインになる島の裾に珊瑚などが堆積できたもので、
島を取り巻くように珊瑚礁が形成されています。
堡礁は裾礁より珊瑚の堆積位置が島の登頂部分から離れているもので、
島の部分から礁湖という部分を挟んで環状の珊瑚礁が島を取り囲んでいます。
環礁は全く島が無く、
環状の珊瑚礁があるだけです。


堡礁や環礁が何故出来るのかは、
諸説あるのですが、一般的には裾礁の島部分が沈降することにより、
裾に堆積していた珊瑚礁の成長が促進されるからだと言われています。
沈降してもかろうじて島部分が残っているのが堡礁になり、
完全に沈降で島が海底に沈んでしまった場合は環礁になります。

火山の地形形成

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