北極星を使った方位角観測
日本のように建物や山が密集した国土では、
それらが妨げになって測量出来ない場合があります。
しかし、上空には雲以外特に障害になるものはありません。
そこで、空の星を利用して、方位角などを測る事があります。
(まあ、GPS測量なら問題ないのですが。)
測量士の方々はそれらを「天文測量」と言っているのですが、
我々一般人の感覚だと、
「宇宙の星も測量しているのか?」と誤解するおそれがあるので、
ここではあえて「天文を使った観測」とさせていただいております。
1、北極星と方位標の水平角観測
方位角の測定は太陽を含めたどの恒星でも良いのですが、
その中でも北極星は地球の地軸の延長線上にある、
天の北極に限りなく近いため、測定の誤差を小さく抑えることが出来、
また、等級が2等星でそこそこ明るいので、
視通しやすいと言う利点があります。
そのため、天文を使った方位角の測定には、
北極星を一般的に使います。
観測にはあらかじめ方位標を決めておく必要があります。
方位標は北極星と地球上のある1点を位置づけるもので、
任意の位置に決めます。
「任意の位置」と言っても、適当ではなく、測定しやすく水平な位置を選びます。
測定は北極星と方位標の水平角と時刻です。
時刻も測るのは、北極星が完全に天の北極と一致しているわけではなく、
地球の自転に伴い、少しづつ(※)移動しているからです。
時刻を測るタイミングは上の図の時です。
この時刻が曲者で、観測者の時計が狂っていると誤差が大きくなります。
そのため、時報を聴いて観測者の時計との誤差を増減しなければなりません。
(時報は有料なのでかけっ放しに出来ないし、
1秒1秒言ってくれるわけではないので、観測者の時計を使わざるを得ません。)
(※)移動と言っても、天球上、つまり、地球上から天を見た時の星の動きで、
実際に北極星(恒星)が動いているわけではありません。
観測が終わったら、
M方向の観測角の平均から北極星方向の観測角の平均を引いて、
方位標と北極星でなす角度(m-s)を求めます。
また、観測時刻の平均(T)も求めます。
(時計が狂っている場合は、補正します。)
2、北極星による方位角計算
観測しているのは水平角と時刻だけなので、
計算する場合は色々表から与件を取り出す作業が必要になります。
(天文三角形部分拡大。)
北極星が丁度標準子午線にある時刻(正中時)=Ts
(観測時刻に近いTsを引き出す。)
北極星が丁度標準子午線にある時刻(正中時)の補正時刻で観測地経度の度分を引数=C1
北極星が丁度標準子午線にある時刻(正中時)の補正時刻で観測地経度の秒を引数=C2
C1は経度が135度より大きくなった場合はマイナス、C2は常にマイナスにする。
これらを表から取り出す。
C1=((135度−(経度の度+経度の分))/15)×係数
C2=経度の秒/15×係数×60×60
ただし、係数=365.2422/366.2422=0.99727
なお、135度は日本標準時刻の規準となっている明石の経度です。
T0=Ts±C1−C2
時角T=観測時刻の平均(T)−T0
観測緯度(度、30分以上切上げ、29分以下切捨て。)と時角T(※分、秒は分単位に換算)から、
仮定方位角A1及び表差係数K(常にプラス)及び表差Dを表から取り出す。
※10分20秒だったら、10.33分にします。
この分をtとします。
観測緯度からK、Dを出す場合、緯度を切上げ、切捨てしたので、
その分の補正係数(M)を観測緯度の度及び分を用いて表から取り出す。
また、正中時の赤偉補正係数(N)を表から取り出す。
M=60×tan観測地点の緯度(B)×D・観測地点の緯度(B)/0.017453292
0.017453292は度数法1度に対するラジアンです。
N=−(60秒×(赤緯δ−年平均の赤緯δ0))/(90度−年平均の赤緯δ0)
A1+(時角Tの分t)×K×D/10)=A2
K、Dは秒単位なので単位に気をつけてください。秒は分に換算します。
A2+M×A2の分単位=A0
A0+N×A0の分単位=北極星の方位角
(m-s)+北極星の方位角。
※但し、北極星の方位角は時角Tと反符号にする。=方位標の方位角
※時角が+なら−、時角が−なら+の符号を付ける。
凾k=観測地点の経度−観測地点の座標系原点の経度
子午線収差γ=凾kの秒単位換算×sin観測地点の緯度
方位標の方向角=方位標の方位角−子午線収差γ
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