河川測量

河川測量とは河川の改修工事などを行なう際、
その元になるデータ(形状、水位、深さ、流量)を調査する測量の総称です。
主なものに横断、縦断測量と、水位観測、流速測定、
そして、その結果を基にして計算する流量計算があります。



1、縦断測量


河川測量は堤防と堤防の間の堤外地及び、
堤防から約300メートルの堤内地が範囲になります。
川の水は時期や天気等で変わるため、
高水位の時でも低水位の時でも測量しやすい場所で測量します。


河川を測量するのには高さを知る必要があります。
しかし、川の傍に水準点が無いと、
毎回遠くの水準点から河川まで水準測量をしていかなければなりません。
しかし、そんなことをやっていたら、時間も人件費もかかってしまうので、
河川付近にある目標の高さを測る作業を先ず最初に行ないます。
目印にする目標は、
河川の河口又は合流点から約200メートル毎に堤防の斜面に設置する距離標、
又は、5〜20キロメートル毎に設置する水準基標があります。
これらの高さを水準測量をして算出します。
それが終わったら、各目標間の断面や構造物の位置などを測定して、
断面図を描きます。それが縦断測量です。
ただ、河川改修をしない限り、距離標や水準基標の成果は既に出ていることが多いので、
通常は過去の成果表から距離標や水準基標の高さのデータを抽出します。
なお、距離標は河川の両岸に設置するのですが、
両岸の距離標を結ぶ線は河心(流心線)に直交するようにします。
河心とは流れの中心になる所で、水の流れている部分の真ん中と言う意味ではありません。
河心は河川の最深部の位置や流れの速さで決定します。

2、横断測量

縦断測量の成果が出たら、今度は横断測量になります。


河川の水際に水際杭を一定の間隔で打ち込みます。
その後、距離標から各水際杭の頭までは水準測量をしていき、
各水際杭の頭の高さを求めます。
また、各水際杭頭と水面との比高を計算し、水面の高さも出します。
距離標から各水際杭、
水際杭から各流速測線(図で言うとA3〜A5)の水平距離をそれぞれ測ります。
各流速測線の水深をレッドまたはロッド、深い場合は音響測深機を使って測ります。


各水際杭の水面の高さと各水際杭同士の水平距離が分かると、
河川の勾配も計算できます。
河川勾配=tan-1(各水際杭同士の水面比高/各水際杭間の距離)

河川平均勾配回帰直線Y=aX+b
n=水際杭の数
x=最初の水際杭からの距離
y=最初の水際杭水面からの比高
a=((n×xyの合計)−(xの合計×yの合計))÷((n×x2乗の合計)−xの合計の2乗)
b=((x2乗の合計×yの合計)−(xの合計×xyの合計))÷((n×x2乗の合計)−xの合計の2乗)

3、流速測定

流量を計算するため、河川の流速を測定します。
流速の測定方法は色々ありますが、
うきを流したり、回転流速計を使ったりして流速を算出します。


流速の測る深さは水面から20%、40%、60%、80%のそれぞれを測って平均を出す4点法、
水面から20%、60%、80%のそれぞれを測って平均を出す3点法、
水面から20%、80%のそれぞれを測って平均を出す2点法、
水面から60%のそれぞれを測って平均を出す1点法があるのですが、
計算の精度等でそれぞれ使い分けます。
基本的には2点法が多いのですが、
水深が50センチメートル以下の浅い所は1点法にする場合があります。

うきを流した場合、うきがスタートからゴールに到着するまでの時間を測ります。
(うきを流し始める場所はスタートより上流。)
あとは小学校で習ったテントウムシ公式に代入します。
流速=スタートからゴールまでの距離÷うきがスタートからゴールまで流れるのにかかった時間
で求められます。
ただし、厳密にはその値に、
水深に応じた更生係数と言う決められた係数を乗じる必要があります。
なお、水面から深い位置の流速を測る場合は、
二重うきなどを使います。

回転流速計の場合、
流速=a+(回転数/時間)×b
で求められます。
a、bはそれぞれの回転流量計固有の定数で、
検定で算出した数値を代入します。
(ただし、最近の回転流速計は測るだけで直接コンピュータが計算してくれますが・・・。)

4、流量計算

水深と流速が分かれば、流量も計算できます。


断面積の計算は、地図の面積計測で出た、台形法やシンプソン法などが出来ます。
上記の例では台形法を使って計算しています。
台形の面積は(上底+下底)×高さ÷2なので、
台形を横に倒すと、(左辺+右辺)×幅÷2とも言えます。
Bの断面積で言えば、左の測点の水深が1.5メートルで、右の測点の水深が2.0メートル、
幅が1メートルなので、
(1.5+2.0)×1÷2=1.75平方メートルと出ます。
同じようにA、C、Dの断面積をそれぞれ計算します。
流量は断面積×流速で求められます。
AとB断面の流量は、
(Aの断面積+Bの断面積)×AB間で測定した流速になり、代入すると、
(0.75+1.75)×1.10=2.75立方メートル/秒になります。
同様にCとD断面の流量は、
(1.80+0.80)×0.90=2.34立方メートル/秒になります。
双方の流量を合計すると5.09立方メートル/秒となります。
なお、1立方メートルは1000リットルなので、
この河川は1秒間に5090リットルの水が流れている事になります。

水路・海測量等

川柳五七の地図のページ6へ戻る

川柳五七の地図のページトップへ

たわたわのぺーじトップへ