路線測量

路線測量とは道路などの線状建設物を建設する際、
その経路、形状などを設計及び調査する測量のことです。
皆様は何気なく道路を利用していると思いますが、
道路設計は自動車や自転車や歩行者などが最大限に安全に使えるよう、
緻密な計算の上設計されています。



1、縦断曲線


例えば、上のような上り坂から下り坂に変わる場所の場合、
一定角度の上り坂からいきなり一定角度の下り坂に変わってしまうと、
上り坂から下り坂の視界が悪くなってしまうだけでなく、
坂が変わる所が三角形の頂点となり、
そこを自動車などの車両が通過すると、
その頂点で衝撃がはしることになります。
それを是正するために、
こういう場合は円弧状に路面を削る必要があります。

円弧状にするということはその円弧の半径が必要になります。
円弧の半径をRとすると、

y=開始点から長さの2乗÷2R

になります。

更にRは(2×長さ)÷角度で表せるので、最初の式に代入すると、

y=開始点から長さの2乗÷2×((2×長さ)÷角度)

y=開始点から長さの2乗÷4×長さ÷角度

y=(開始点から長さの2乗×角度/(4×長さ))

になります。

今回の場合、2つの勾配(坂)を合成して考える必要があるので、
角度を後の勾配角度−前の勾配角度にして合成させ、
長さを全体の長さで表します(2×長さ=全体の長さ)。
それを上の式に代入すると、

y=
((後の勾配角度−前の勾配角度)/(2×全体の長さ))×開始点から長さの2乗
になります。
更に勾配は大抵百分率(%)で表されるので、
(((後の勾配角度−前の勾配角度)/100)/(2×全体の長さ))×開始点から長さの2乗
になり、
((後の勾配角度−前の勾配角度)/(200×全体の長さ))×開始点から長さの2乗
となります。

上の式が出たらそれぞれの長さごとに代入すれば、
最初の勾配からそれぞれyの長さが出ます。
下の図は計算例です。


2、本曲線と緩和曲線


自動車がカーブを曲がる際、
瞬間的にそのカーブにあったハンドルにきることはなく、
普通は徐々にそのカーブにあわせてハンドルをきっていくと思います。
(瞬間的にハンドルをきると体が遠心力で強く飛ばされるだけでなく、
最悪の場合自動車がスピンしてしまう。)
そのため、道路が直線からいきなり本カーブに入ってしまうと、
ハンドルのきり具合とカーブが合わなくなり、
自動車がセンターラインや路肩からはみ出てしまい、
大変危険なことになります。
そのため、本カーブに入る前に徐々に曲率半径が小さくなっていく緩和曲線を挟んだ上で、
曲率半径が一定の本カーブを入れます。

3、単曲線

本曲線に使う円曲線は色々あるのですが、
地形的に厳しい所を除いて基本的には単曲線を使います。


与件として必要なのはカーブの中心角Iと半径Rです。
中心角Iは開始点側、終点側の直線を延長させ、
その交わるところをVとします。
そうしたら、図のIの角を測ります。
角Iは角AOBと等しいので、これで中心角が決定します。
中心角Iと半径Rが決まったら、開始点、終点、中点の位置を定める要素を計算します。
なお、中心角はラジアンに変換します。
1ラジアン=57.29577951・・・度
1度=0.017453292・・・ラジアン
注)関数電卓をお使いの方はモードをDEG(度)からRAD(ラジアン)にします。

辺AV=辺BV=R×tan(I/2)

曲線長C=R×I
F点までのC=R×θ

弦L=2×R×sin(I/2)
F点までのL=2×R×sin(θ/2)

E=R×(1/cos(I/2)−1)
1/cos(I/2)はsec(I/2)と書くことも出来ます。

M=R×(1−cos(I/2))

4、クロソイド曲線

クロソイド曲線は道路の緩和曲線に主に使われます。


クロソイド曲線を計算する場合、
先ず最初にクロソイドパラメータと言う定数を求める必要があります。
クロソイドパラメータは、
クロソイドパラメータの2乗=曲線の半径R×0からの弧の長さL
クロソイドパラメータ=√(曲線の半径R×0からの弧の長さL)
で求められます。

Λ=1/(曲線の半径R÷クロソイドパラメータ)=0からの弧の長さL÷クロソイドパラメータ
とすると、
X=cos(Λの2乗/2)を0からΛまで積分
Y=sin(Λの2乗/2)を0からΛまで積分
になります。・・・が、この積分は通常の方法では出来ません。

なので、テイラーと言う人が考えた定理を使います。

f(x+h)=f(x)+(f(x)を微分したもの/1!)h+(f(x)を微分したものを微分したもの/2!)hの2乗
+(f(x)を微分したものを微分したものを更に微分したもの/3!)hの3乗+・・・
+(f(x)をn回微分を繰り返したもの/n!)hのn乗

「!」は数字にびっくりしている訳ではなく、
「階乗」と言って、
3!なら1×2×3=6のことで、5!なら1×2×3×4×5=120のことです。

更にxを0にしてしまえ!と考えたのがマクローリンと言う人です。
マクローリンの展開式は、
f(x)=f(0)+(f(0)を微分したもの/1!)x+(f(0)を微分したものを微分したもの/2!)xの2乗
+(f(0)を微分したものを微分したものを更に微分したもの/3!)xの3乗+・・・
+(f(0)をn回微分を繰り返したもの/n!)xのn乗

●先ず、x座標は、

cos(Λの2乗/2)=cos(0)+(cos(0)を微分したもの/1!)×(Λの2乗/2)
+(cos(0)を微分したものを微分したもの/2!)×(Λの2乗/2)の2乗
+(cos(0)を微分したものを微分したものを更に微分したもの/3!)×(Λの2乗/2)の3乗+・・・

※なお、sin(x)を微分するとcos(x)に、
cos(x)を微分すると−sin(x)になります。

=1+(−sin(0)/1!)×(Λの2乗/2)+(−cos(0)/2!)×(Λの2乗/2)の2乗
+(sin(0)/3!)×(Λの2乗/2)の3乗+(cos(0)/4!)×(Λの2乗/2)の4乗
+(−sin(0)/5!)×(Λの2乗/2)の5乗+(−cos(0)/6!)×(Λの2乗/2)の6乗+・・・

=1+0−1/2×(Λの2乗/2)の2乗+0+1/24×(Λの2乗/2)の4乗
+0−1/720×(Λの2乗/2)の6乗+・・・

上の式を積分すると、
X座標=Λ−1/40×Λの5乗+1/3456×Λの9乗−1/599040×Λの13乗+・・・

(2×2)×2×5=40
(2×2×2×2)×24×9=3456
(2×2×2×2×2×2)×720×13=599040

●次にy座標は、

sin(Λの2乗/2)=sin(0)+(sin(0)を微分したもの/1!)×(Λの2乗/2)
+(sin(0)を微分したものを微分したもの/2!)×(Λの2乗/2)の2乗
+(sin(0)を微分したものを微分したものを更に微分したもの/3!)×(Λの2乗/2)の3乗+・・・

=0+(cos(0)/1!)×(Λの2乗/2)+(−sin(0)/2!)×(Λの2乗/2)の2乗
+(−cos(0)/3!)×(Λの2乗/2)の3乗+(sin(0)/4!)×(Λの2乗/2)の4乗
+(cos(0)/5!)×(Λの2乗/2)の5乗+(−sin(0)/6!)×(Λの2乗/2)の6乗+・・・

=0+(Λの2乗/2)+0−1/6×(Λの2乗/2)の3乗+0
+1/120×(Λの2乗/2)の5乗+0+・・・

上の式を積分すると、
y座標=1/6×Λの3乗−1/336×Λの7乗+1/42240×Λの11乗+・・・

2×3=6
(2×2×2)×6×7=336
(2×2×2×2×2)×120×11=42240

ただし、この式は道路のような短い緩和曲線に通用するもので、
超巨大クロソイド曲線の構造物を造る時には使えません。

河川測量

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