スクライブ製図法の仕組み
スクライブ製図はどのようなものかは地図製図の種類で述べましたが、
実際、どのような形でやるのか見てみたいと思います。
1、スクライブベース
網点や注記以外は、スクライブベースで製図します。
で、スクライブベースとはなんじゃらほいと言うと、
合成樹脂のベースに遮光被膜を塗りつけたものです。
遮光被膜は光を通さず、合成樹脂ベースは光を通します。
つまり、遮光被膜を削ると光が通るようになるのです。
実際のスクライブ製図は上のようなデスクでやります。
下から蛍光灯で照らした状態でスクライブベースの遮光被膜を針で削ります。
ガラス板と合成樹脂ベースは透明なので、
遮光被膜がなくなると蛍光灯の光が通るようになるのです。
つまり削ったところは光を通すため、
どこを削ったのかが分かるようになるのです。
2、スクライブベース作業の流れ
これはスクライブベースの初期状態です。
当然、何もありません。
これに素図を型付けします。
型付けした素図に合わせて遮光被膜を針で削ります。
削ったところは蛍光灯の光で白くなります。
完成図はこのようになります。
つまり、削ったところが線になるのです。
なお、多色刷りの場合、
スクライブ製図はサープリントを作ってから印刷します。
(これは後述します。)
3、マスク版とは
地図には面的な部分がありますが、
この面を実際スクライブベースで彫るとなると大変なことになります。
特に網点は点一つ一つ彫ると言う馬鹿げたことになってしまいます。
そこで登場するのがマスク版です。
マスク版は透明フィルムの上に薄い遮光フィルムが貼ってあります。
透明フィルムは光を通しますが、
遮光フィルムは光を通しません。
つまり、網点など面的な部分は、
上の遮光フィルムを剥がせば良いのです。
4、マスク版の流れ
マスク版を作る前にする作業が分版模範です。
分版模範とは、この色はどこに使うかを支持するものです。
例えば、原図がこのような地図の場合(道路は国道、細い線は水涯線)。
海は青の網点なので、
青の分版模範を作ります。
一方、道路は国道なので、
茶色の分版模範も作ります。
青の分版模範にマスク版を被せます。
カッターで外枠部分の線を遮光フィルムに入れます。
このとき、誤って下の透明フィルムも切らないように注意します。
(透明フィルムも切ってしまうとマスク版が切れてしまいます。)
線を入れたら、線の部分に爪を当て、
ゆっくりと透明フィルムから遮光フィルムを剥がしていきます。
遮光フィルムを剥がすと蛍光灯の光が通るのですが、
そこが青の網点部分になります。
それが終わったら、茶色のマスク版も同じようにします。
5、ピールコート
上の流れで紹介したのは、
カッターで線を入れて剥がすストリップコートのマスク版ですが、
細かい図面になると、カッターで線を入れるのが大変になってきます。
そこであらかじめ写真処理で切り口を作ってしまうピールコートと言うマスク版があります。
ただ、ピールコートは融通が利かず、
関係ないところまで切り口で開いてしまうため、
その部分は遮光するよう、スクライブ製図用修正液を塗ります。
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