その他の図法

今まで、方位図法、円錐図法、円筒図法の話をしましたが、
その他にも図法があり、必要に応じて使われています。

1、多円錐図法


※図は見やすくするため緯線を適宜省略しています。
それぞれの緯線に接する円錐を被して投影する方法です。
そのため、中央の経線上に緯線の円の中心が来るようになり、
円の中心は緯線ごとに異なっている図になります。
正距、正角、正積、変更多円錐図法など、種類は色々ありますが、
下の正規多円錐図法以外は殆ど使っていないようです。

●正規多円錐図法

別名・アメリカ図法で、
緯線の縮尺倍の長さが地球上と同じ長さになるように投影された、
正距図法です。
この図法は中央の経線で緯線の間隔が等しくなり、
緯線は円弧のようになります。
そして、その円弧の円の中心は中央経線上になります。
また、赤道は直線になります。
経線は、それぞれの緯線を中央経線から経度差ごとに分割し、
それを結ぶ曲線です。
欠点は、経線が中央経線から離れるほど長くなってしまうことです。

2、多面体図法


地球の表面を経緯線ごと細かく区切って、
その区画の4隅を平面の4隅に合わせて、
心射図法で投影する方法です。
しかし、今はUTM座標(円筒図法のページ参照)に切り替わったので、
殆ど使われていません。

3、擬円錐図法

擬円錐図法は円錐図法で投影したのを、
決められた変更をして別の形にした図法です。
代表的なものには下のボンヌ図法があります。

●ボンヌ図法


※図は見やすくするため経緯線を適宜省略しています。
ボンヌ図法は正積図法に所属します。
中央経線から離れるほど歪みが出てしまうのが欠点です。

4、擬円筒図法

擬円筒図法とは、
円筒図法の特徴である、「緯線の直線」と言う性質を残しつつ、
経線を色々な曲線で表現した図法です。
擬円筒図法はだいたい世界全図に使われます。
代表的なものには下の3つの図法があります。

●a,サンソン図法


地球を縦1、横2の比率にした正積図法です。
緯線は地球上の長さに等しく、
中央経線に交わる緯線の経線長も等しくなっていますが、
中央経線や赤道を離れるにしたがって歪みが大きくなると言う欠点があります。
伊能忠敬の伊能図はこの図法を使っています。

●b,モルワイデ図法


経線を楕円にした正積図法です。
地球の縦横比率はサンソン図法と同じく1:2です。
北緯南緯40度44分付近が一番歪が小さいのですが、
それを離れるにしたがって歪は大きくなります。

●c,エケルト第6図法


極と赤道の比率を1:2にした正積図法です。
極付近の歪はかなり大きいのですが、
中緯度、高緯度でも極力歪は小さく出来ています。

5、ハンマー図法


ドイツ人のハンマー(ドイツ語ではハンメル)が考案した正積図法です。
ラムベルト正積方位図法赤道法の横方向を2倍にしたものです。
経線はモルワイデ図法と同じ楕円で構成されていますが、
緯線も円弧状になっているところが異なります。
そのため、モルワイデ図法より歪が小さくなっています。

6、複合図法

複数の図法を組み合わせた図法です。
それぞれの図法の長所を活かしています。
代表的なのにグード図法があります。

●グード図法(ホモロサイン図法)


北緯南緯とも40度44分を境にし、
赤道側をサンソン図法、極側をモルワイデ図法にしたものです。
これは、赤道付近の歪が小さいサンソン図法と、
高緯度の歪が小さいモルワイデ図法の長所を合わせたものです。
図は切り開いた断裂法になっているため、
気温図や海流図、航路図や海図には不適切ですが、
歪が小さいので地球儀の設計図などに使われます。

地球楕円体

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