注記とは
注記とは、地図上に乗っている文字や数字のことで、
地図記号のないものの名前や種類、標高などの高さの数値に用います。
地図を見ていると、あたりまえのように注記が入っているのですが、
意外とこの注記入れは、地図製図士のセンスが問われ、大変難しいものです。
注記を入れる場所を間違えると、地図のバランスを崩したり、
重要な情報を間断させてしまうこともあります。
そのため、注記の入れ方も図式規定でこまかく規定されています。
1、小対象物、線形対象物、地域
注記を入れるときには、小対象物、線形対象物、地域に区分して入れます。
小対象物とは、建物や構造物、三角点など独立して存在しているものをさします。
線形対象物とは、川や道路、鉄道など線状に存在しているものをさします。
そして、地域とは、行政区域や公園などの集合的な範囲をさします。
2、縦書き、横書き
地図の場合は横書きを優先して使います。
3、公称、通称
公称とは公で使われている正式名称を言い、
通称とは、広く知られている俗的な名称を言います。
〜公称と通称の例〜
公称 |
通称 |
東京大学 |
東大 |
日本電波塔 |
東京タワー |
上野恩賜公園 |
上野公園 |
首都圏新都市鉄道 |
つくばエクスプレス |
地図の場合、基本的に公称を使いますが、
公称がないものや、通称の方が広く知れ渡っている時は、通称の方を使います。
なお、公称の場合、公称以外にも有名な名称がある場合は、
括弧書きでその名称を付け加えることができます。
しかし、居住地には使いません。
4、固有名詞がない場合
固有名詞がない場合や、名称をそのまま使うと不都合な場合は、
形状を説明する注記を入れることができます。
5、略称
略称とは公称などを略したものを言います。
〜例〜
千葉ニュータウン→千葉NT
原則、略称は使いませんが、略称が広く知れ渡っている時や、
表示する場所が極端に狭い場合は、
見る人に疑問を与えない程度で入れることができます。
6、字数
字数は文字通り文字の数のことです。
字数が多い場合に限って注記を2行(列)に渡り表示することができます。
7、字隔
字隔とは文字と文字の間隔のことです。
文字の多い場合は定められた範囲で字隔を狭くし、
文字が少ない場合は定められた範囲で字隔を広くします。
8、字大
字大とは文字の大きさのことです。
文字の大きさは文字を囲んだ四角形の大きさで表します。
字大は対象物や注記でこまかく定められていますが、
表示する場所が狭い場合は、
一定の大きさの字に限り字を小さくすることができます。
それでも入らない時は、字隔を4分の1まで狭くすることができます。
9、字形
字形とは字の形のことです。
直立体とは字が垂直に立っている文字を言い、
左傾斜体とは、左に傾いている文字を言います。
最近の地図は殆ど直立体で、左傾斜体は使われなくなってきています。
また、2万5千分の1地形図では、等高線の数値を右傾斜体、
山岳の名称をしょう肩体(右上がりの字体)と定められています。
10、字列
字列とは文字の配列のことを言います。
字列の区分は水平字列、垂直字列、斜向字列に分かれます。
水平字列とは、文字を※図郭の下辺に対して水平に配列する横書きの字列で、
左から右に読むよう配列します。
垂直字列とは、文字を※図郭の下辺に対して垂直に配列する縦書きの字列で、
上から下に読むよう配列します。
斜向字列とは、線形対象物などの線に沿わせて文字を配列する字列を言います。
更に斜向字列は直線字列、曲線字列、折線字列に区分され、
対象物の傾きが45度以上は縦読みに、45度以下は横読みにします。
直線字列とは線状の対象物に直線で沿わせた字列で、
曲線字列は線状の対象物に曲線で沿わせた字列です。
折線字列は直線字列でも曲線字列でも表示が困難な場合、
対象物の形状に合わせてその対象物の中に表示する字列で、
それぞれの文字は※図郭の下辺に対して平行になるようにします。
(※図郭=地図の外の枠の線のことを言います)
11、助字
助字とは、簡単に言えば拗音(きゃ、ちゃ・・・など)、促音(さっ、ぱっ)のことで、
横書きの場合は、下辺に接するようにし、親字の右辺に接して表示します。
縦書きの場合は、右辺に接するようにし、親字の下辺に接して表示します。
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