図式とは

地図記号を述べる前に、図式と言うものを知る必要があります。



1、図式とは

図式とは、地図を作っていく上の共通の約束事を書いたもので、
国土地理院の地図でしたら、国土地理院が発行しています。
平たく言ってしまえば、「地図の書き方マニュアル」と言えます。

一般的にはよく「マニュアル人間になるな」と言う格言がありますが、
地図の場合、マニュアルどおりに書かないと、
地図利用者の混乱と錯誤を生んでしまうことになります。
同じ国土地理院発行の2万5千分の1地形図でも、
A図面の図式とB図面の図式が全く統一性がなかったら、
いちいちその図面の凡例を見なければなりません。
また、A図面とB図面の比較もうまくいかなくなってしまいます。

2、図式の構成

図式はおおまかに次の構成で成り立っています。

総則 図式の目的や作る地図の性格、規格、表示等の総括的なことと、
総合描示や転位(やむをえないときに実際位置より地図記号を移動すること)、
重複、許容誤差などを規定しています。
地図記号 地図記号の書き方や表示の仕方、
どうゆうところで使う記号かなどを規定しています。
注記 地図に入れる文字の書き方や書体、文字の入れ方などを規定しています。
整飾 図郭(地図の外側の枠のこと)外に表示する情報の書き方や、
必ず入れる情報などを規定しています。
付則 図式の付録的なことで、参照とすべきものを入れています。

3、2万5千分の1地形図の総則

●a,図式の目的
測量法(第4条)より、2万5千分の1地形図の作成についての表現事項を定め、
表示する対象の選択と表示事項の原則を定めたもの。

●b,地形図の性格
地表面を正確詳細に表示した全国ネットの基本図で、
広範囲の利用を目的に作成した地図。

●c,投影法
正角図法のユニバーサル横メルカトル図法(UTM図法)

●d,地形図の1図面の区画
経度差7分30秒・緯度差5分
(分は1度の60分の1)
ただし、この範囲で表現することが難しい離島などは、区画を延伸できます。
なお、平成14年の図式改正に基づいて作成した地図は、
地域別に図郭の大きさが変わるのを防ぐため、
(南の地域の方が上の経度差・緯度差で表示すると図郭が大きくなる。)
縦42×横51センチに図郭の大きさを統一しています。

●e,表示の対象物
永続性のあるもの。(すぐなくなってしまうものは表示しない。)
ただし、1年以内に完成するものや、
永続性がなくても重要な事柄は表示することができます。

●f,表現方法
★できるだけ正確詳細に表示します。
★表示対象は正射影(上から<上空から>見た正しい位置にあらわすこと)で、
形状を地図記号で表します。
ただし、正射影であらわすのが困難な場合(微小なものや、ランダムなもの)は、
正射影の位置に定められた記号で表示します。
★地図記号は下の図郭に対して直立させて表示させます。
(地図記号を斜めにしたり、ひっくりかえしたりしない)
★表示対象物の名前は文字で表現します。

●g,取捨選択と総合描示(通称「総描」)
取捨選択は重要なものを省略しないようにします。
また、総合描示もやりすぎて
実物の形状からかけ離れることにならないよう気をつける必要があります。

●h,転位
やむをえない場合、記号を真位置からずらすことができます。
ただし、転位によって位置関係が大きくずれないようにします。
★有形物(目に見えるもの)と
無形物(等高線など実際目に見えないもの)の画線が近接する場合は、
無形物を転位させます。
★自然物と人工物が近接する場合は、人工物を転位させます。
★平面移動は0.5ミリまでにして、
やむをえない場合のみ1.2ミリまで移動させることができます。

●i,重複
異色の二つの記号が重複する場合は、重ねて表示するのが原則ですが、
立体関係のものは下のものは表示しません。
同色の記号が近接する場合や、同色の記号と文字が重複する場合は、
0.2ミリ離して表示します。

●j,記号の大きさの誤差
±0.2ミリまで。(かなりきつい・・・!)

●k,線や網点の区分

★線の区分(誤差は±0.01ミリまで)
線号 太さ
特0号 0.08ミリ
1号 0.10ミリ
特1号 0.15ミリ
2号 0.20ミリ
3号 0.30ミリ
参照
シャーペンの芯
0.50ミリ

★網点の区分
網点とは漫画でいえば網トーンと考えていただければ良いと思います。
対象 種類 点の面積率
国道 120 30%
樹木に囲まれた居住地 100 10%
水部(水のあるところ) 120 15%
種類の数値は、2.5センチメートル間の点の数です。

等高線とは

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