三角測量
三角測量は基準点測量の一つで、昔ながらの測量です。
この測量は比較的、
トランシットやトータルステーション等で測る箇所が少ないため精度が高いです。
ただ、距離のある(数KM〜十数KM)基準点間の角度を測るため、
それぞれの基準点の標石は、いくら倍率の高いレンズで見ても見えません。
そのため、それぞれの基準点に高い櫓(測標)を建てる必要があります。
また、視通をよくするため、間の障害物(木など)を排除する必要があるので、
多大なる人手と労力が要ります。
建物の多い都市部では不向きな測量で、
山岳地帯や水田、畑など広範囲が見渡せる所に使われる測量です。
また、基準点がある場所の足場が悪いと、
標石真上にトランシット等を置けないし、櫓も建てられません。
そのため、標石からずらしてトランシット等を置いて測量したり、
櫓を標石からずらして建てたりすることがあります。
ずらした場合、「偏心補正」と言う作業が必要になるため、若干精度が落ちます。
1、水平角観測
水平角観測は水平方向の角度を測ることです。
上の図で言うと、青の角を測ります。
既設基準点「い」で言うと、既設基準点「あ」から新点の角度を測ります。
トランシット等で左右両方向から測ることを「対回」と言って、
既設基準点「い」では、既設基準点「あ」〜新点と右回りに測った後望遠鏡を反転させて、
新点〜既設基準点「あ」と左回りに測ると1対回です。
これを最低3対回します。
同じように既設基準点「あ」「え」「う」でもそれぞれ角を測ります。
そして、新点では既設基準点「え」〜「う」、「う」〜「い」、「い」〜「あ」の角を測ります。
ここで、「測ってない角があるじゃないか!!」と思われるかもしれませんが、
三角形の内角の和は180度なので、
三角形新点〜「い」〜「う」で言えば、
180度−角B−角Cで角Aの角度が出ます。
三角形「あ」〜新点〜「え」は2つの角が出ていませんが、
一周は360度なので、
360度−角Y−角C−角Zで角Xが出るので、残りの角も出ます。
・・・で、三角形新点〜「い」〜「う」で言うと、
辺aと辺bの距離の値を出したいのですが、
これを出すのは正弦定理と言う嫌〜な公式を使います。
正弦定理は上の図で言うと、
a/sinA=b/sinB=c/sinC
となります。
それを変形して、
a=c×sinA/sinC
b=c×sinB/sinC
で求められます。
「辺cの値が分からないんだけど・・・。」と思われるかもしれませんが、
この辺は既設基準点を結ぶ辺なので、
成果表から距離の値が分かります。
辺aと辺bの距離の値が出たら、
残りの赤の辺の値も同じく正弦定理で出します。
これでそれぞれの辺の長さが出たわけですが、
最終的に求めたいのは新点の座標値です。
新点の座標値は下の公式に当てはめます。
新点のx座標=既設基準点のx座標+(既設基準点〜新点までの平面距離×cos方向角)
新点のy座標=既設基準点のy座標+(既設基準点〜新点までの平面距離×sin方向角)
なお、方向角とは座標北からの右回りの角度のことです。
既設基準点「い」で言えば、
方向角Tは既に成果表で分かっているので、
方向角Tから角Aを引けば方向角Sが出ます。
同じく既設基準点「う」で言えば、
方向角Rは既に成果表で分かっているので、
方向角Rに角Bを足せば方向角Qが出ます。
例え方向角Rが分からなくても、
座標北方向は平行なので、
方向角Tが錯角になり、180度+方向角Tで方向角Rが出ます。
また、正弦定理で出した距離は球面距離なので、
平面距離に補正する必要があります。
平面距離=球面距離×☆
☆=0.9999+(既設基準点のY座標+新点y座標の概算)の2乗/8×地球の半径の2乗×0.9999
「新点y座標の概算」は、
既設基準点のy座標+(既設基準点〜新点までの球面距離のm単位まで×sin方向角)
で求める平面距離を出すための仮の計算です。
また、地球の半径は6370kmとします。
2、鉛直角観測
鉛直角は上下の角度を測ることです。
上の図の既設基準点「い」で言えば、新点の鉛直角を測ります。
同じように、既設基準点「あ」、「え」、「う」から新点の鉛直角を測り、
新点から各既設基準点の鉛直角を測ります。
実際は測標の高さと器械(誤字ではありません・・・。)の高さがあるので、
それを足し引きする必要があります。
詳しくはこの後の高低計算でご紹介します。
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