穀倉地帯を抜けて・富山地鉄本線20

40(T02)、稲荷町(いなりまち)Inarimachi


本線だけで見れば相対式2線の駅です。
本線と不二越線がデルタ状に広がっていて、
双方の線の間に稲荷町鉄道基地と車両整備棟(車両工場)、
稲荷町変電所、鉄道センタービルが狭い敷地にギチギチに存在しています。
それらの施設の向こう側に不二越線の片面1線のホームと駅舎があります。
双方は電鉄富山駅寄りの地下道で結ばれています。
富山地方鉄道・鉄道線は50両弱の旅客車両が存在していますが、
車庫はこの稲荷町駅だけです。
(留置線は電鉄黒部駅、立山駅などいくつか存在。)

検車庫は2両×3本、車両整備棟は2両×2本、
留置線は6両×3本、3両×2本、2両×1本、他・保線用車両留置線2本
の構成になっているようです。
車庫には普通車両だけでなく、
元京阪のダブルデッカーエスプレス、元西武のアルプスエスプレス、
同じく元西武のキャニオンエスプレスなどが留置されている姿が見られます。
express」をエスプレスではなく、エスプレスと言うところが昭和感を感じて、
地方私鉄らしいです。
駅前には大型商業施設がありますが、
駅から見ると裏側になり、
正面出口は南側になっています。
駅の直ぐ北側には稲荷公園がありますが、
こちら側の出口は無いため、
西側の踏切から大回りで行く必要があります。
稲荷町という駅名から近くに稲荷神社があるわけですが、
駅名・地名の元になった越中稲荷神社は、
駅から南西に400メートル程離れています。



稲荷町駅を出てもカーブが続き、
車庫からの線や不二越線の線路が近付きます。



それぞれの線が合流します。
そして、線路をやや左に振ります。
稲荷町駅~電鉄富山駅間は富山地方鉄道唯一の複線区間です。



上下線の渡り線を過ぎます。
下り不二越線と車庫へ入場の電車がこの渡り線を使います。

右手は富山地方鉄道の関連会社の立山黒部貫光の敷地です。
社名の「貫光」が「観光」で無いところも洒落が効いていて、
立山黒部アルペンルートで北アルプスの厳しい地形を貫いたと言う感じが出ています。


目の前にJR北陸新幹線の高架橋が迫ると、
左カーブです。

そして、県道172号線の下を交差します。


JR北陸新幹線の高架下を走ります。
そして、シーサスクロッシングを過ぎます。

このシーサスクロッシングは高架化工事に伴い設置されたもので、
電鉄富山駅のシーサスクロッシングが一時的に使えない時に使っていました。


新幹線と共に右カーブです。


将来的にここから高架区間になる予定です。


カーブ途中で県道30号線と交差するのですが、
地下交差なのでよく分かりません。



この辺に富山田地方駅がありました。
昭和44年まで存在していたのですが、
電鉄富山駅に近く、利用客も少なかったので廃止になりました。
昭和44年まで残っていた駅の割に
高架化工事前からこの駅の駅跡が判然としていませんでした。
これは、県道30号線の立体化工事で周辺を整備した関係だと思われます。


いたち川を渡ります。


シーサスクロッシングになり左に線路を振ります。
高架化工事前はここで電鉄富山駅北側の2線と、
南側の2線に出入する線に分岐していました。

41(T01)、電鉄富山(でんてつとやま)Dentetsu-Toyama


3両編成の電車が縦列に2本停車できる、
2面2線の駅です。
今は高架化工事のため、相対式ホームになっていますが、
高架化後は島式1面と単式1面の2面2線になる予定です。
高架化工事前は3面4線あって
発着に余裕があったのを2線に減らしたのは、
工事のためと言うより、
駅のスリム化を富山市としては考えているからです。
高架化計画当初は縦列停車出来ない2面2線を予定していたのですが、
これではあまりにも発着線不足なので、
計画を縦列停車式に変更したようです。
とは言え、同じ線に縦列停車にすると、
行き先を間違えて誤乗車する乗客が続出してしまうため、
日中は基本的に縦列停車を電鉄富山駅行きに限定し、
電鉄富山駅停車後は一度、稲荷町駅に回送しています。
(特に折り返し時間が長くなる不二越・上滝線と立山線の電車)
そのため、電鉄富山駅始発は車止め側に統一されています。
さすがに朝夕は列車間隔が狭くなり、
稲荷町駅まで回送する時間が無いため、
始発も縦列停車になる場合があります。
この時、稲荷町駅寄りに停車した電車は車止め側列車より後に入線して、
先に出発しなければならない制約があるため、
本線、立山線、不二越・上滝線それぞれの線の運用入れ替えが頻繁に起こります。
電鉄富山駅の駅ビルはエスタ富山ですが、
殆ど繋がっているマリエ富山とも行き来出来ます。
ただ、エスタ富山の建設基面高がマリエ富山より高いため、
電鉄富山駅改札階がエスタは1階になっているのに対して、
マリエは2階になっています。
なお、高架化後はエスタ2階の接続になります。
ただ、改札前に幅広い1階への階段とエスカレータが設けられるため、
駅の正面入口は従来通りエスタ1階マリエ2階になる予定です。

電鉄富山駅周辺は殆ど立体交差化されていて、
富山地方鉄道の高架化は必要ないように見えるのですが、
今の高さだと、
JR北陸新幹線やあいの風とやま鉄道の富山駅の
2階改札階(とやマルシェ2階)への連絡コンコースが造れません。
駅ビルを壊すか、高架化するかしないといけないのですが、
駅ビルはそこまで古くなく壊すのがもったいないので、
将来のことを考えて高架化を選択したようです。
今現状だと、一旦エスタから外に出て、
JR北陸新幹線やあいの風とやま鉄道の乗り換えになるのですが、
エスタととやマルシェの間は屋根があるし、隣同士なので、
そこまで不便なわけでもありません。
なお、同じ富山地鉄の路面電車の富山駅電停は高架化が完成しても、
それぞれが駅前広場東西の端に位置しているため、
そこそこ乗り換えに時間がかかります。
南富山駅前電停方面の利用だったら、
電鉄富山駅・エスタ前電停の方が近くて便利です。



仮設ホームの2番4番ホームはややカーブになっていて、
1番3番ホームは直線になっています。
1番ホーム部分の屋根は、
高架化工事前の1番線ホーム屋根を流用しています。
ただ、車止めは1両分稲荷町駅方向に移動しています。

おわりじゃないぞよ、もうちっとだけ続くんじゃ。↓


高架化工事前の稲荷町駅~電鉄富山間


高架化工事開始前の、
現在シーサスクロッシングがある地点です。


右カーブを曲がります。


県道30号線沿いの地下歩道入口があります。
高架化工事開始後の現在は線路用地になったため、
道路左右にあった入口は撤去、封鎖され、
西側通路のいたち川沿いの入口1カ所のみになりました。


いたち川を渡ります。
東側になんとなくスペースがあるのですが、
ここに富山田地方駅のホームがあったと思われます。


シーサスクロッシングを過ぎると、左右に線路が分かれます。
左手に富山地鉄千歳変電所の建物があります。
高架化工事開始後、線路移設のためこの建物は撤去され、
富山地鉄ゴールデンボウル西端横に移設されました。
なお、この変電所は富山地方鉄道の変電所ですが本線のものではなく、
路面電車用の変電所です。
~~~~~
シーサスクロッシングの先に新幹線の高架側に分かれる線があるのですが、
これはかつてのJR北陸本線(現・あいの風とやま鉄道北陸本線)の連絡線跡です。
一時期は特急ひだや特急サンダーバード、
名古屋鉄道の特急北アルプスなどがこの線を通って、
宇奈月温泉駅や立山駅方面に乗り入れていました。
それも新幹線建設に伴い線路が分断され、
今ではいにしえの夢物語となってしまいました。
なお、JR北陸本線は2万ボルト交流電化、
富山地方鉄道は1500ボルトの直流電化なので、
連絡線途中に交直デッドセクションが挟まれていました。
そのため、特急サンダーバードなどは交直切り替えを行っていました。
現在、
あいの風とやま鉄道と線路が繋がっているのは新魚津駅(魚津駅)だけで、
車両の受け渡し等も新魚津駅で行われています。


電鉄富山駅の北側2線と南側2線の発着線が大きく離れます。
そして、道路・堀川線の上を交差すると、電鉄富山駅に入るのですが、
1番線と3番線は稲荷町駅側に引上線がありました。


高架化工事前の電鉄富山駅は3面4線の駅でした。
北側から1番線2番線3番線4番線と順序通りに並んでいました。


14760形電車の立山駅行きと、
10030形電車の上市駅行きです。

高架化工事前の電鉄富山駅は結構停車番線がランダムになっていました。


どちらも岩峅寺駅行きで、どちらも17480形電車です。
違いは寺田驛経由か南富山駅経由で、
4番線の方が寺田驛経由、3番線の方が南富山駅経由です。

紛らわしい・・・。


2015年頃の電鉄富山駅の時刻表です。
立山線は今とさほど変わりませんが、
本線は今より本数が激減していて、
朝ラッシュ時は毎時4本から3本へ減少、
夕方ラッシュ時も毎時3~4本から2~3本に減らされています。

更に日中も毎時2~3本から2本に減らされています。
よくよく見ると優等列車の減少もあるのですが、
越中舟橋駅、中滑川駅、滑川駅、電鉄黒部駅、舌山駅といった、
中途な区間便が殆ど無くなっているのが分かります。
勿論、地方なのでモータリゼーションや少子高齢化、沿線人口減少で
利用客が減っている上に、
JR北陸新幹線の開通で
宇奈月温泉駅方面の流れが変わっていることもあるのですが、

中滑川駅~電鉄黒部駅間は、
あいの風とやま鉄道に利用客が流れているようです。

これは、JR時代と比べて特急列車が無くなり、
普通列車の所要時間が相対的に短縮され、
利便性が向上したためです。
(富山地鉄より速く富山駅に出られるため。)
余談ですが、
弊サイト作者も日中のあいの風とやま鉄道の列車(2両編成)に乗ったのですが、
同時間帯の富山地方鉄道本線の電車(2両編成)がガラガラなのに対し、
あいの風とやま鉄道の方はラッシュ時のように混雑していて座れませんでした。
(2両編成は短すぎる!!4両編成にしてくれ・・・。)
なお、不二越・上滝線の方は、
夕方以降の本数が数本間引かれています。

ただ、何れの線もこの当時は間隔がランダムで、
やたら間隔が狭い時と、長いときが入り交じっていました。

現在はパターンダイヤ化していて使いやすくはなっています。

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