大社へ参拝・近江鉄道多賀線

近江鉄道多賀線は高宮駅から多賀大社前駅までの2.5qの路線で、
2区間しかない、支線(盲腸線)です。
しかし、昔は多賀大社への路線として、
開業時から彦根駅〜高宮駅間と共に電化がされ、
いち早く電車を走らせていました。
高度経済成長期くらいまでは、
多賀大社の観光輸送と多賀の住民の足として、
それなりに利用客があったのだと思われますが、
東海道本線沿線への人口流動による過疎化と、
名神高速道路の開通によるモータリゼーションで、
利用客は減り出しました。
そんな中、西武グループの悪い癖で、
近江鉄道は利用客減→本数減の対策をしたため、
支線(盲腸線)特有の問題として、
便利なJR東海道線(琵琶湖線)の
彦根駅や南彦根駅へのバスに利用客がシフトし、
あまつさえ、自転車や徒歩にもシフトしてしまったため、
余計に利用客が減ってしまいました。
営業指数から見れば廃線やむなしの状況なのですが、
途中にスクリーン駅を開業させて、
利用客の底上げをしたため、何とか持っている状態です。

多賀線は片道の所要が5分程度で、往復でも10分です。
そのため、多賀線専用の運転士を付けてしまうと、
60分ヘッドの運転時は50分近くも休憩時間のようになってしまうので、
日中は本線の運転士が運用(シフト)の合間に運転をしています。
基本は多賀線内の折り返し運用なのですが、
朝夕は米原駅、彦根駅方面からの直通列車があります。



01(OR07)、高宮(たかみや)Takamiya


近江鉄道本線の貴生川駅方面ホームは扇状に広がっており、
多賀線の乗り場は貴生川駅方面乗り場の反対側にあります。
ホームはカーブしており、
以前は20メートル車を入線させるとホームに接触してしまうため、
16.6メートル車に限定されていましたが、
現在はホームを削り取ったため、
20メートル車でも入線出来るようになりました。
本線との接続は彦根駅方面優先で、
一部彦根駅、米原駅からの直通運転があります。
その一方で、八日市駅方面の接続は良くないことが多いです。
写真の820系電車は西武の赤電塗装になっています。
欲を言うならば、行き先表示は幕式の方が良かったのですが・・・。


(彦根口駅方向撮影)
多賀線高宮駅は反対側にも使われていないホームがあります。
利用客が多かった昔は、
多賀大社の参拝客のために両側のホームが使われていたのだと思われます。


使用されていないホームの更に東側に側線があり、
廃車体などの列車の留置に使われています。


高宮駅を出ると左急カーブです。


かつては、カーブが終わったところで側線と合流していたのですが、
現在はスクリーン駅側の側線の線路は切られています。


JR東海道新幹線の下を交差し、右カーブです。


工業地帯に入ります。


ブリヂストンとSCREENの工場の間を走ると、スクリーン駅です。
架線柱は最初に電化した区間に散在する、
細いH鋼柱が多くなっています。
(配電線はコンクリート柱で別に支持。)

02(OR08)、スクリーン(すくりーん)Screen


平成20年に出来た、片面1線の駅です。
京セラ前駅やフジテック前駅のように、「前」がついてなく、
単に「スクリーン」だけなので、
外部の利用客は「ここに何があるんだ?」と疑問に思ってしまいます。
この駅は半導体・プリント基板製造会社の、
株式会社SCREENホールディングス彦根事業所の最寄り駅です。
日中の利用客は多くありませんが、
朝夕はSCREENとブリヂストンの従業員が多く利用します。
そのため、この駅は終点の多賀大社前駅よりも利用客が多いです。


スクリーン駅を出ます。
左急カーブのため、時速30キロメートル制限です。


遠くに名神高速道路の高架橋が見えます。


カーブが終わると道路と交差します。


水田地帯になると右カーブです。


県道224号線が近付きます。


直線になります。


何本か農道が交差します。いずれも第四種踏切です。


踏切を通ります。
直ぐ横が交差点のため、
交差する道路側に特殊な赤信号が設置されています。
かつて、ここら辺に土田駅がありました。


やや左に曲がります。
かつてはここでキリンビールからの引込線が合流していました。


側線が分かれますが、あまり使用されている形跡はありません。
この側線は多賀線の列車を増便した際、
折り返しまでの時間、
波動用車両を留置しておくために設けられているのだと思われます。


名神高速道路の下を通ると、多賀大社前駅です。
かつてはここで住友セメントへの引込線が左手に分岐していました。
現在、途中までは県道224号線の道路用地に転用されていて、
多賀中学校裏手辺りから線路跡が残っています。
住友セメントは敷地の大部分がダイニック滋賀工場に変わっており、
ここら辺は全く線路跡が分からなくなっています。
奥の方の住友大阪セメント滋賀サービスステーションの敷地のみが、
なんとなくかつての貨物ヤードだったことを彷彿とさせます。

03(OR09)、多賀大社前(たがたいしゃまえ)TagaTaisha-mae


3面2線の駅です。
元々駅名は「多賀」で、平成10年に今の駅名に改名しました。
通常は西側の線(分岐側)に入線し、
ホームは駅舎側の1番ホームを使っています。
犬上郡多賀町の市街地入り口に位置していて、
天照大神の両親である、
伊邪那岐大神と伊邪那美大神が祀られている多賀大社の最寄り駅なのですが、
駅の利用客は多くなく、
基本、多客時以外は無人駅になっています。
ただ、駅舎はコミュニティハウスになっています。
多賀大社前駅の利用客が少ないのは、
高等学校や大学などの学校が全く無く、
モータリゼーションが進んでいる関係だと思われます。
しかし、新興住宅も増えつつあるので、
もう少し本数を多くすれば、それなりに利用客は確保出来ると思います。
なお、多賀大社は西に800メートルの所に位置していて、
徒歩12分程で行けます。

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