東京電力の新標準装柱

東京電力(東電)管内の配電線柱は、
時代の流れに伴い、少しずつ装柱を変えてきました。
ただ、配電工事会社によって微妙に装柱が異なっておりました。
2025年頃から東電管内の配電線柱は新標準を規定し、
基本、それに伴った装柱に統一する流れになっています。
このページはその中の特筆する装柱を紹介したいと思います。



●複合柱


先のページで書きましたが、
東京電力管内の配電線柱は最近、
コンクリートと鋼管(パンザマスト)を組み合わせた複合柱が使われています。
電柱が地震などで折れて倒れる場合、
大体は根元付近が折れます。
そのため、根元及び根元付近は堅く折れにくく、
万が一折れても中の鉄筋で完全な倒壊を免れるよう、
コンクリート柱(全体の約1/3)を使い、
それに鋼管を2〜3筒つなぎ合わせて組み立てます。
複合柱は従来のオールコンクリート柱より運搬が楽になり、
トラックも電柱専用の大型トラックを使用する必要がなくなります。
また、施工もロープや重機による大がかりな立ち上げが必要なく、
時間も削減され、効率が良いです。
また、逆にオール鋼管柱のように、
強度強化のため、根元にコンクリートを打設する必要がありません。

令和になった現在、東電管内の新規配電線柱は、
ほぼ100%この複合柱になっています。
ただ、
「普通のコンクリート柱の新規配電柱も見た。」
と仰る方もいると思います。
これはNTTの電柱で、
東電の方がNTTの電柱を借りて共架している場合は、
複合柱は使われず、普通のコンクリート柱が使われます。
ただ、これは2026年現在の話で、
将来的にはNTTの方も複合柱になるかもしれません。

●腕金代用避雷針


従来から雷対策として、
架線の最上部に避雷線(グランドワイヤ/GW)を張っていました。
しかし、後の研究で、雷は避雷線に直接落ちることは殆ど無く、
一番高いところの先端に落ちる性質が分かりました。
そのため、コスト削減の目的で、
新規ではアース線を複数の電柱で共有しない限り、
架空地線を張らなくなりました。
また、腐食などで老朽化している架空地線は張りかえること無く、
逐次撤去するようにしています。
最初の頃は撤去した際、
今まで架空地線を支持していたGWキャップなども同時に撤去していましたが、
後に撤去処分コストを削減するため、
GWキャップなどを残すところも出てきました。
更に令和に入った頃から、
架空地線を撤去しても、
避雷針代用としてGWキャップなどは基本撤去しない流れになっています。

新規の配電線柱は元々架空地線がない所が多く、
A,何も上部に取り付けない(または、コンクリート柱頭部キャップを付ける)
B,短い避雷針を取り付ける
C,腕金を避雷針の代用して取り付ける
・・・の3パターンがありましたが、
どうやら新標準装柱では、Cの腕金代用が本採用されたようです。
2025年頃からの新規の配電線柱は、
腕金代用避雷針が取り付けられていて、
Aパターンの何も取り付けていなかった配電線柱も、
装柱の更新の際、態々腕金代用避雷針を取り付けています。
Bパターンで無くCパターンを標準にしたのは、
専用の避雷針を購入すること無く、
架線装柱資材として汎用的な腕金を使った方が便利で、
発注の手間もかからないからだと思われます。


Bパターンの避雷針タイプ


Cパターンの腕金代用避雷針です。
新標準装柱はこのタイプが基本となっています。
BパターンもCパターンも避雷針に赤いアース線が取り付けられています。

●一相省略耐雷対策

最近の装柱は両端の相のジャンパー線支持碍子がクランプ碍子で、
真ん中の相のジャンパー線支持碍子だけ放電クランプの無い中実碍子だったり、
耐雷ホーンが両端の相しかついていない装柱が多くなっています。
これを見た時私は、
「なんで?三相交流の特性か??」と思ったのですが、
これは一相省略耐雷対策のようです。


雷で絶縁破壊して地絡電流(過電流)が発生した場合、
短絡して断線するのは2相間以上であり、
1相だけでは地絡電流が僅かで断線は起こりません。
そのため、3相のうち2相に耐雷対策をして消弧すれば良い訳です。
新標準装柱では耐雷対策のコスト削減のため、
この方式が増えているようです。
なお、基本的には耐雷対策を省略する相は真ん中の相なのですが、
配電線路の角度によっては両端の相のうち1相にジャンパー線支持碍子や、
耐雷ホーンを取り付けられない場合があります。
その時は真ん中の相に耐雷対策を施します。
パターンとしては下の表の通りです。


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真ん中の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。

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両端の相で消弧されるので、断線は起きない。


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真ん中の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。

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真ん中の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。

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左の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。

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左の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。


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真ん中と右の相で消弧されるので、断線は起きない。

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左の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。

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左の相と真ん中の相で消弧されるので、断線は起きない。

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右の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。


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右の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。

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右の相だけ地絡電流が流れるので、断線は起きない。
=耐雷対策あり、無=耐雷対策省略または、無し
×=絶縁破壊で地絡電流発生、○=無傷

※なお、単相2線の場合は省略しません。


引き通しの新標準配電線装柱です。
両端の相には耐雷ホーンが横に付けられていますが、
真ん中の相だけ取り付けられていません。


耐張碍子を挟む配電線柱のジャンパー線支持碍子は、
両側の相がクランプ碍子、
真ん中の相だけただの中実碍子になっています。
更に、クランプ碍子の方は耐雷ホーンも横に取り付けられています。
なお、昔はジャンパー線支持碍子をクランプ碍子にした場合、
耐張碍子は中実耐張碍子を使っていたのですが、
現在は中実耐張碍子は使われず、
普通に使われる2連の耐張碍子を使っています。

引き留めの配電線柱も、
両側の相は態々耐張碍子カバーからジャンパー線を立ち上げており、
クランプ碍子を通した先で線を切っています。
最近はゲリラ豪雨が多く、落雷も増えているので、
耐雷対策を強化しているのだと思います。

なお、平成中期頃からの省コスト配電線柱にあった、
ジャンパー線立ち上げ部分の無い耐張碍子カバー(クランプカバー)装柱や、
ジャンパー線支持碍子省略装柱などは、
新標準装柱においては見られません。

●避雷器から耐雷ホーンへ

最近、需要家へ分岐する開閉器付き配電線柱も、
変流器がある配電線柱も、
避雷器を新規配電線柱で見かけることが少なくなりました。
現在は避雷器を使うより、
耐雷ホーンを使って消弧させるのが一般的なようです。
いち早く耐雷ホーンを採用した
中部電力のウェブサイトを拝見したところ、
従来の避雷器を取り付けるより、
耐雷ホーンを取り付けた方が50%程コストカットが出来るそうです。

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