複雑ダイヤ・都営浅草線1

東京都は、東京市時代から自力で地下鉄を造りたいという願望をもっていました。
しかし、大阪や名古屋などがどんどん市営で地下鉄を造っていく中、
東京都は資金難でなかなか建設することができませんでした。
結局、東京の地下鉄は例外的に、
帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)が造っていくことになりました。
もちろん、東京都は帝都高速度交通営団(以下、営団地下鉄)に出資していて、
東京都とは全く関係のない特殊法人ではないのですが、
国鉄も営団地下鉄に出資していて、その国鉄(国)の影響力が強かったので、
地下鉄建設の主導権を握るのは到底不可能でした。
そのため、常々東京都は営団地下鉄でなく、
都営の地下鉄を建設しようと考えていました。
転機はオリンピックが東京で開催されることに決まったことで、
東京都は都市交通審議会答申の中で、
1号線を造ることになりました。
ここでやっと東京都が独自に地下鉄を造ることになったのです。
1号線は、京成電鉄と京浜急行電鉄の乗り入れを想定し、
軌間1435ミリ、電圧1500V、架線集電式で造ることにしました。
しかし、そのころの京成の軌間は1372ミリでした。
そのため、京成は1435ミリに改軌する工事をしました。
なお、京成の改軌はたった2ヶ月でやったと言う伝説が今でも残っています。
そして、昭和35年、都営地下鉄の1号線(押上〜浅草橋間)が完成しました。
同時に京成電鉄とも相互直通運転を開始し、
東京の地下鉄で始めての郊外鉄道直通運転路線になりました。
その後、順次建設を続けていき、昭和43年に泉岳寺駅まで開通し、
京浜急行電鉄との相互直通運転を開始し、その後、西馬込駅まで全通しました。
開通から長らく路線名は都営1号線だったのですが、
昭和53年に新しい地下鉄10号線(現・都営新宿線)が開通するに当たって、
愛称を決めることになり、都営1号線は都営浅草線になりました。
そして、平成3年に今までの京成、京急の他に、
北総開発鉄道(現・北総鉄道)が乗り入れを開始し、
ここら辺から都営浅草線のダイヤが複雑化しだしました。
更に平成10年には京浜急行電鉄が羽田空港まで路線を延ばしたため、
それにあわせた白紙ダイヤ改正が行われ、
今まで線内各駅停車ばかりだった都営浅草線に、
エアポート快特という優等列車が運転開始になりました。
これで更にダイヤが複雑化し、各社から多種多様な車両が乗り入れ、
車両のデパート路線とまで言われるようになりました。
現在は、京成(成田スカイアクセスを含む)、京急、北総、千葉ニュータウン鉄道、
芝山鉄道の5社が浅草線に乗り入れています。

都営浅草線は先に書いたとおりダイヤが複雑で、
押上駅や泉岳寺駅で種別名が変わったりすることも多々あります。
また、行き先もバラバラになっています。
東京の地下鉄に不慣れな人にはとてもわかりにくい路線です。
・・・東京の人でも都営浅草線のダイヤを理解している人は少ないと思います。
逆にそれが鉄道ファンをひきつける要因ともなっています。
なお、こんなに複雑で相互直通運転のエリアを含めると広大になる都営浅草線ですが、
浅草線自体の路線長は、西馬込〜押上間の18.3qになっています。
また、西馬込〜押上間のうち、西馬込〜泉岳寺間は支線のようになっています。

なお、あまりにも車両が多種多様に乗り入れているので、ATC化が出来ず、
地下鉄最後のATS路線になりました。
ラインカラーは制定当時走っていた車両のクリームと赤を混ぜたローズピンクです。



01(A01)、西馬込(にしまごめ)Nishi-Magome


西馬込駅は相対式2線になっています。
最近耐震化工事を行い、ホーム全体がリフレッシュしました。
本門寺や池上梅林は、東急池上線池上駅でも、
この駅でも行けます。


西馬込駅の南側の地上に馬込車両検修場と工場があり、
工場では浅草線の他、大江戸線の車両の検査や修繕も行っています。
ただ、大江戸線の車両はリニアモーター式で浅草線内は自走できないので、
E5000形電気機関車で牽引されてこの工場に回送します。
なお、昔はこの駅の北西側に車両工場があり、
その引込み線の途中3箇所に踏切があったのですが、
今は廃止されています。


馬込車両検修場から地下に入る部分です。単線になっています。
西馬込駅から馬込車両検修場に車両を入れるときは、
一旦引き上げ線まで行き、スイッチバックのような形で入ります。


西馬込駅を出発します。

02(A02)、馬込(まごめ)Magome


島式2線の駅です。
環七通りと国道1号線の交差点下にある駅です。
耐震化工事の関係で柱に新しく化粧版を取り付けて綺麗になりましたが、
壁のタイルは昔のままで薄汚れています。


馬込駅を出るとややくだり勾配になります。

03(A03)、中延(なかのぶ)Nakanobu


島式2線の駅です。
最近改装工事が行なわれましたが、
従来のタイル壁をクリーム色に塗って、
化粧ボードを部分部分に貼り付けた低予算な改装に留めています。
東急大井町線とのりかえが可能です。
ただ、地上乗換えで少し歩きます。


中延駅を出ます。

04(A04)、戸越(とごし)Togoshi


島式2線の駅です。
最近中延駅同様、低予算の改装工事が行なわれました。
東急池上線戸越銀座駅に乗り換え出来ますが、
ここも地上乗換えで少し歩きます。
両駅の間は戸越銀座と言う商店街になっていて賑やかです。


戸越駅を出るとまもなく五反田駅です。

05(A05)、五反田(ごたんだ)Gotanda


島式2線の駅です。ホーム中ほどには空調装置が立ち並んでいます。
JRとの乗り換えは不便ではありませんが、
東急池上線の乗り換えは不便です。
西馬込〜泉岳寺間の駅では利用客の多い駅になっています。


五反田駅を出ると、円形シールドトンネルになります。
五反田〜泉岳寺間は、
都営地下鉄ではじめてシールドトンネルを採用した区間です。

複雑ダイヤ・都営浅草線2

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