旧熊ノ平変電所

現在は廃止されている、JR信越本線の横川駅〜軽井沢駅間には、
熊ノ平信号場があったのですが、
その信号場跡の横にある旧・熊ノ平変電所をご紹介します。




旧JR信越本線の横川駅〜軽井沢駅間にある、
熊ノ平信号場跡です。
元々は駅だったので、ホームも残っています。


その駅の南側横川駅寄りにあるのが、
旧JR熊ノ平変電所です。
変電所の建物はかなり古く、
昭和12年(1937年)に建設されたようです。
平成30年には重要文化財に指定されています。


建物はコンクリート製ですが、
完成から90年近く(2024年現在)経過しているので、
外壁はかなり剥落が進み痛んでいます。
窓ガラスも所々割れています。
建物内は見ることが出来ませんが、
変圧器と整流器があると思われます。


変電所の建物から直流き電線が引き出されています。


き電線は2本の架線柱に渡されたかご形ビームに接続されています。


接続する架線柱には手動式の断路器が挟まれています。


き電線は各方向に接続されています。
横川駅〜軽井沢駅間は急勾配区間(最大66.7パーミル)なので、
架線は電圧降下対策にツインシンプルカテナリーになっています。


トンネルの多い区間なので、
トロリー線はき電線で吊架されています。
その他に独立したき電線もあります。


変電所入口です。
変電所への取付道路は300メートル程西側(軽井沢側)の国道18号線から分岐しています。
分岐後は直ぐトンネルで、
そのトンネルの坑口部にフェンスのゲートがあるため、
一般車の進入はできません。
観光客は南側の観光客用駐車場に車を止め、
遊歩道を使ってここに来ます。


変電所の引込部は既に使われて無く、
整備もされていないので草ぼうぼうになっています。
そのため、変電所引込部の形態がよく分かりません。


鉄構の先端に避雷線が渡されています。


母線などは一部残されています。
右鉄構下に断路器がちらっと見えるので、
この部分だけは分かります。


熊ノ平変電所に引き込んでいた送電線は既に廃止されています。
鉄塔は残っていますが、既に碍子等は外されています。
鉄塔は古いタイプで、アームが単純な構造になっています。


上の鉄塔と同じ送電線が通っていたと思われる鉄塔です。
木のツタが絡まりまくっています。


熊ノ平信号場の軽井沢駅方向です。
草が覆い茂っていますが、急勾配なことが分かります。
特急「あさま」などはEF63形電気機関車を横川駅側に2両連結して、
この急勾配に挑んでいました。
今のJR北陸新幹線は大きく北に迂回しているため、
半分以下の30パーミルに緩和されていますが、
それでも安中榛名駅付近を時速210q程度で走っていた列車が、
軽井沢駅近くには半分近くの速度(時速110q)に下がってしまうほど急な勾配です。


熊ノ平信号場の横川駅方向です。
大中小のトンネルが並んでいますが、
今は遊歩道になっている一番右側のトンネルが一番古く、
ここに旧線が通っていました。
旧線時代はアプト式で、線路の中心部にラックレールが敷かれていました。


熊ノ平信号場の脇にJR一ノ宮(?)熊ノ平神社があります。
鳥居には「稲荷大明神」の表示があるので、
おいなりさんが祀られているのだと思います。

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