海岸・港湾・海上の構造物

海にも色々な構造物がありますが、
海岸や港湾付近に集中しています。
これらの構造物は主に船舶の安全な航行、
津波や高潮の被害を守る目的なもの、
資源の確保などの目的があります。



1、海岸構造物

海岸の構造物の目的は大きく分けて二つあり、
一つは海岸の砂浜の流出防止(海岸線後退防止)と、
津波や高潮から海岸付近の住宅地を守る目的があります。

1−1、離岸堤・人工リーフ


砂浜は何もせず放っておくと波によって砂が沖に流されてしまい、
段々砂浜が縮小し、最終的には消失してしまいます。
(詳細は地図のページ7の海の地形形成参照)
特に海岸から沖に流れる離岸流は海岸線を浸食する力が強く働きます。
それを防止するのが主に二つあり、
一つは離岸堤、もう一つは人工リーフです。
離岸堤は基礎の上に消波ブロック(テトラポッド)を載せたタイプと、
等間隔で杭を打ち込み、
その上にスリットが入った鉄筋コンクリート製函体を載せた有脚タイプがあります。
何れも消波ブロックの隙間や函体のスリットに離岸流が通ることにより、
流れを減衰させる機能があります。
次に人工リーフですが、人工的にコンクリート製の岩礁(リーフ)を造り、
比較的海岸に近い所に沈めて浅瀬を造る方法です。
離岸堤や人工リーフを設けることで砂の流出が防止され、
そこを中心に陸繋砂州(トンボロ)が形成されます。

1−2、海岸堤防


川に河川堤防があるように、海でも海岸堤防があります。
川の場合、増水による氾濫を防止する目的があるのですが、
海の場合は主に高潮や津波で、
海岸沿いの住宅や農地などが浸水したり流出したりすることを
防止するために設けられます。
河川堤防と構造は似ているのですが、
大きく異なる所は表法面上部に波返しという円弧状突起物があることです。
これがあることで、波が内側に反り返り、
天端面(堤防の上の部分)を乗り越えてしまうことを防止しています。
なお、海側の表法面下部は波の力で浸食されやすいので、
根固めで根元部を強化しています。
また、海岸堤防は離岸堤のように海岸浸食を防止する機能もあります。

1−3、水門、陸閘

水門と陸閘は何れも海岸堤防の一部分に設けられ、
通常はゲートや扉が開いている状態なのですが、
高潮や津波時には閉じて、
住宅側、上流側に海水が遡上して浸水、流出することを防いでいます。


水門は河川が海に流れる河口部に設けられます。
高潮時等にゲートを降ろして海水が遡上しないようにしています。


一方陸閘は海岸に出る道路の海岸堤防交差部に設けられます。
通常は海岸堤防の切取り面に設けられた扉体が開いている状態なのですが、
高潮時等になると扉体を閉じて海水が陸側に流れ出ないようにします。
なお、イラストの扉体は回転式ですが、
スライド式のものもあります。

2、港湾構造物

単純に港と言っても色々種類があります。
代表的な港は以下のものです。
1,漁港(漁業をする船舶専用の港)
2,旅客船ターミナル(旅客船専用の港)
3,マリーナ・ヨットハーバー(ヨットやボート専用の港)
4,工業港(タンカー等専用の港)
5,商業港(コンテナ船等専用の港)
6,軍港
一つの港湾にこれらが単独、もしくは複数で介在しています。
また、港湾の重要度に応じて、
A,国際戦略港湾
B,国際拠点港湾
C,重要港湾
D,地方港湾
E,避難港湾
に分かれます。
このうち、避難港湾とは、悪天候などで一時的に船舶が停留できる港湾を言います。

2−1、港湾


上の図は一般的な港湾の例です。
港湾は防波堤で囲まれており、
高波、高潮などが港湾の中に入ってこないようにしています。
この防波堤から内側が港湾となります。
入口には照射灯という灯台が設けられています。
この照射灯は港湾に入る船から見て左側に緑色光で白色の灯台を、
右側に赤色光で赤色の灯台を設置すると決められています。
船が通る通り道を航路と言い、
船はこの航路の範囲内で航行しなければなりません。
もし、航路から外れると構造物にぶつかったり、
浅瀬に座礁したりしてかなり危険なことになります。
船の停泊は船の大きさ、用途などで様々あり、
小型の漁船やボートなどは、
エプロンにあるボラード(係留柱)にロープを引っかけて停泊することが多いです。
旅客船などはエプロンに停泊させると、
乗船時に足を踏み外して海に転落する危険があるため、
桟橋横に停泊し、桟橋から乗船するようにしています。
タンカーやコンテナ船などは埠頭(ふとう/波止場)に停泊します。
埠頭は桟橋を大きくかつ幅広くしたような埋立地で、
単に船を係留させるだけで無く、
積み出した荷物などを一時的に保管しておく倉庫や、
給油施設、船舶整備工場などの建物が建っていることが多いです。
また、船の荷物(コンテナ等)を積んだり降ろしたりする場所なので、
埠頭には何基かのデリックなどのクレーンが設置されています。
なお、埠頭の「埠」の字は常用漢字外漢字なので、
基本的には「ふ頭」と書きます。
その他、近くの広場や道路から港側に向かって下がっていく、
「スロープ」などがあります。
このスロープは船を陸に引き上げたり、
海に進水したりするときに使います。

2−2、航路標識


岬や港湾、港口には灯台が設けられます。
灯台は船舶にとっての目標物になっていて、
船の方向や現在位置、陸地の位置の特定に使われます。
灯台の位置により、灯台の色や発光の色などが異なります。
光の色は白色、赤色、緑色、黄色の4種類があります。
また、ずっと同じ光で光っている不動光もあれば、
明るくなったり暗くなったりする明暗光、点滅する閃光、
交互に光の色が変わる互光などがあります。
無線方位信号所はレーマークビーコンや、
レーダービーコンの電波を発している所(航路標識)で、
船舶側のレーダーがそれを2局から受信することにより、
船舶の位置や方向を特定することができます。
ただ、最近はGPSが普及しているため、
レーマークビーコンなどは廃止されています。
なお、航路標識はこのほか色々あり、
これを紹介していくときりがないのと、
このコンテンツは「川柳五七の地図のページ」であり、
「海図のページ」ではないので、
詳しく知りたい方は海図や船舶関係のウェブサイトやSNSをご覧下さい。

3、養殖場

養殖場は人工的な環境の元で、
魚や貝、海藻などの魚介を飼育及び成長促進させる施設のことです。
養殖場で魚介を成長させ増やしてそれを流通させることにより、
需要の大きい魚介の漁による乱獲を防ぎ、
生態系の維持が期待できます。


養殖場は比較的海岸や漁港に近い浅瀬に作られます。
また、それ以外の陸地にも生簀(いけす)を設け、
養殖しているところもあります。
それぞれの魚介などによって飼育施設の形態が異なっており、
魚は浮き袋の付いた網状の生簀の中で育てます。
この生簀の形は円形のものや四角形のものなど様々あり、
魚の成長段階に合わせて細かく区割りされているものもあります。
海苔などは杭にノリ網を渡して養殖する方法を使い、
カキなどの貝は筏に吊した紐に貝の稚貝をつけて、
成長促進させる方法を使っています
なお、養殖場は食用海産物以外にも、
真珠などの養殖もあります。

4、海堡(かいほう)

海堡とは軍事的目的で造った人工島を言います。


海堡には港、灯台、倉庫など港湾のような施設に加え、
地下壕や砲台がいくつかあるのが特徴です。
現在では航空機やドローンなどで
ピンポイントに海堡に攻撃してしまえば一巻の終わりなので、
新しく海堡が造られることはありませんが、
昔は航行する敵国軍事船を攻撃するために設けられることがありました。
なお、日本では明治時代に三つの海堡が東京湾に造られました。
現在はそのうちの第一海堡と第二海堡が現存しています。
(第三海堡は関東大震災で崩壊、その後撤去)

5、海上構造物


海上にはその他にも様々な構造物があります。
ある程度沖合には洋上風力発電の風車があります。
海は山や建物の障害物が無く、
強い風が吹くほか、
近くに住宅などがないため、
風車(ブレード)から出る風切り音による騒音問題も起こりません。
ただ、建設費がかかる欠点があります。

メガフロートは人工的な浮体構造物で、
浮いているために基礎などの打設が必要なく、
比較的安価で広範囲の用地を海上に確保出来るほか、
船で曳航させることにより、
色々な場所に移動させることができます。
使い方も色々で、
公園や海上工事作業所、滑走路、軍事施設、石油備蓄基地、
レジャー施設などがあります。

石油プラットフォームは石油を掘削して精製する施設です。
最近、海底からは石油だけで無く、
メタンハイドレートやレアアースなどの採掘も始まりつつあり、
そういった採掘施設の構造物も今後増えていくと思われます。

また、構造物とは異なりますが、
沈没船も実は船の航行上重要なもので、
ここを避けないと沈没船に船が座礁してしまう可能性があるため、
海図にも沈没船の位置が表示されています。

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